LINE公式アカウントのショップカード|1万枚発行して分かったこと
クーポンや一斉配信は使っているけれど、来店のたびにポイントが貯まる仕組みまでは手をつけていない。そんな店舗は少なくないと思います。
紙のポイントカードを配っていても、なくす人や出し忘れる人がいて思ったほど機能していない、という声もよく聞きます。
先に結論を書きます。LINE公式アカウントのショップカードは、紙のスタンプカードをそのままLINEに載せた無料の機能です。
難しいのは操作ではなく、何ポイントで何を渡すか、どこで案内するかという設計の部分です。
私はパン屋を2店舗運営していて、LINE公式アカウントの友だちは店頭の声かけと店内POPだけで1万人を超えました。
ショップカードは2022年9月から約4年、2店舗で運用しています。累計の発行済みカードは14,367枚、特典チケットの使用率は53.7%です。
この記事では管理画面の実数を公開し、そこから何が読み取れるのかを書きます。
もくじ
LINE公式アカウントのショップカードとは、紙のスタンプカードをそのまま載せた無料の機能

LINE公式アカウントのショップカードは、来店や購入のたびにポイントが貯まり、決めた回数に達すると特典と交換できるデジタルのポイントカードです。
LINEヤフーの公式マニュアルでも、来店や商品購入の特典を付与できる機能として案内されています。
紙との違いは、お客様が持ち歩かなくてよいことです。店舗側も印刷や補充の手間がなく、発行枚数や利用率をあとから数字で振り返れます。
4年運用して、いちばん大きいと感じたのがこの「振り返れる」点でした。
紙のカードを配っていた頃は、何枚配ったかも、そのうち何枚使われたかも分かりませんでした。
料金は無料。追加費用の心配はいらない
LINEヤフーマーケティングキャンパスの解説では、この機能はどのプランでも追加料金なしで使えるとされています。
無料メッセージの通数制限とも別枠です。私の店でも増えた費用はなく、かかったのは案内用POPを作る手間とスタッフへの説明だけでした。
LINE公式アカウントのショップカードを1万枚発行して分かった数字を公開する

ここからは私の店の実数です。2022年9月から2026年9月までの約4年間、2店舗を合算した累計で、管理画面に出ている数字をそのまま載せます。
| 項目 | 実数 |
|---|---|
| 有効カード | 10,545枚 |
| 発行済みカード | 14,367枚 |
| 付与ポイントの合計 | 61,531 |
| うち来店ポイント | 49,970 |
| うちカード取得ボーナス | 11,561 |
| 有効期限切れ | 0 |
| 発行済み特典チケット | 6,525枚 |
| 使用済み特典チケット | 3,502枚 |
| 特典チケットの使用率 | 53.7% |
ゴールに到達すると次のカードへ進む設計にしています。進むほど人数は減ります。
| カード | 発行済みカード | 来店ポイント | 発行チケット | 使用チケット | 使用率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1枚目 | 10,545 | 17,567 | 2,753 | 1,403 | 51% |
| 2枚目 | 2,753 | 14,302 | 2,309 | 1,179 | 51.1% |
| 3枚目 | 912 | 12,971 | 1,003 | 602 | 60% |
| 4枚目 | 85 | 2,458 | 224 | 157 | 70.1% |
| 5枚目 | 29 | 1,128 | 108 | 74 | 68.5% |
| 6枚目 | 18 | 619 | 59 | 35 | 59.3% |
| 7枚目 | 10 | 459 | 45 | 30 | 66.7% |
| 8枚目 | 8 | 239 | 11 | 10 | 90.9% |
特典チケットの使用率は、カードが進むほど上がる
1枚目の使用率は51%です。配った特典チケットの半分が使われずに残っています。
ところが3枚目は60%、4枚目は70.1%、8枚目になると90.9%まで上がります。
つまり、2枚目、3枚目と進んだ人ほど、特典をきちんと使いに来ているということです。
1枚目だけで終わる人と、2枚目に進む人とでは、店との関係が別物になっています。
ここは、数字を見るまで分かっていませんでした。
導入前の私は1枚目を何人に配れるかを考えていましたが、いまは配る枚数より、2枚目に進んでもらえるかどうかを見ています。
1枚あたりの来店ポイントも、カードが進むほど増える
カード1枚あたりの来店ポイントは、1枚目が約1.7、2枚目が約5.2、3枚目が約14.2です。
1枚目を受け取った人の多くは1回か2回で止まり、3枚目まで来た人は1枚に14ポイント前後を積み上げています。
上位のお客様になると400を超えます。いちばん多い方で437ポイントでした。管理画面でこの数字を見たときは、素直にありがたいと思いました。
有効期限切れは0にしている
表の「有効期限切れ」は0です。貯めたポイントを期限で消していません。
期限を切ればゴールを急がせる効果はあるのかもしれません。
ただ、3か月ぶりに来て前のポイントが残っている。その状態を保っておきたいと考えて、切らない側を選びました。
年間・月間に直すとどれくらいか
4年で割ると規模感がつかめます。
| 項目 | 累計(約4年) | 年あたり | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 発行済みカード | 14,367枚 | 約3,600枚 | 約300枚 |
| 来店ポイントの付与 | 49,970 | 約12,500 | 約1,040 |
| 使用済み特典チケット | 3,502枚 | 約880枚 | 約73枚 |
4年間で3,502個のパンを特典として渡してきたことになります。
月あたり約73個。180円のパンで計算すると売価ベースで年間約16万円、月あたり約1万3千円です。導入を迷っている方の判断材料になると思います。
ショップカードの作り方は4ステップ。迷うのは背景色ではなく特典だ

ショップカードの作り方は、操作そのものは難しくありません。
公式マニュアルによると、管理画面またはアプリから作成を選び、次の順番で設定します。
- 背景画像とデザインを選ぶ(推奨サイズ1920×960px、3MB以下。画像を使わず背景色だけでも作れます)
- カード名を決める(20文字以内)
- ゴールポイントと特典を決める(1〜50ポイントの範囲で設定可能)
- 有効期限を設定して公開する
時間がかかるのは3番目です。ゴールポイントと特典を決めるには、来店周期と特典の原価を先に把握しておく必要があります。
決めないまま公開すると、あとから条件を直しづらくなります。
私が背景の色に使った時間は5分もありません。なお、カードは最大10種類まで作れ、公開前は下書きとして保存できます。
ポイントの付与はQRコードが基本。迷うのは読み取ってもらう場所
付与の方法は2通りです。
管理画面から発行してポスターやレジ横のPOPに印刷するか、スタッフの端末に表示してその場で読み取ってもらうか。どちらも読み取り期限を設定でき、同日に複数回取得できない制限もあるため、会計を分けて何度も読み取る使い方は防げます。
迷ったのは、会計の動線のどこに組み込むかでした。
レジは慌ただしく、動作を一つ増やすと忙しい時間帯に手が止まります。私の店では、いちばん待ち時間が生まれやすい瞬間に差し込む形に落ち着きました。
ショップカードのポイント設計は、1枚目を配ることより2枚目に進ませることを狙う

ゴールポイントは1〜50の範囲で設定できます。活用事例をまとめたline-sm.comの解説では、まず10ポイント前後から始め、分析結果を見ながら調整する進め方が紹介されています。
少なくしすぎると達成する人が増えて特典の原価がかさみ、多くしすぎると途中で心が折れて忘れられます。
私の設定は10ポイント。ただし1枚目だけ5ポイントにしている
私の店の設定を書きます。通常は10ポイントでパン1個。ただし最初のショップカードだけ、半分の5ポイントで1個にしています。
理由は、1枚目で脱落されるとその先の数字が立ち上がらないからです。
渡す特典は到達地点によって変わり、180円のパンか、店の看板にしているパンのどちらかを選んでもらいます。
5ポイントなら、体感で2〜3週間で届きます。週に2回ほど来ていただければ達成できる距離です。
パン屋の来店周期とちょうど噛み合う長さで、ここは意図して短くしました。
数字を見て変えた基準
先ほどの表をもう一度見てください。1枚目の発行が10,545枚に対して、2枚目に進んだのは2,753枚です。
1枚目を受け取った人のうち、2枚目に進んだのは4分の1程度ということになります。
導入当初、私は1枚目の発行枚数を追いかけていました。
配った枚数が多いほど良いと考えていたからです。けれど使用率が段階的に上がっていく表を見て、週に一度の確認で見る場所を次の2つに変えました。
- 1枚目から2枚目へ、何枚進んだか
- 特典チケットの使用率が、前の週から動いたか
発行枚数は友だちが増えれば自然に増えます。増えても売上が動くとは限りません。
2枚目に進んだ枚数のほうが、実際の再来店に近い数字だと考えています。
ゴールは期間から逆算する
10ポイントという数字をそのまま真似する必要はありません。
毎日来店できるパンや惣菜なら1〜2週間で届きますが、来店周期が月1回の業態では数か月かかります。
どれくらいの期間で届いてほしいかから逆算するほうが実態に合います。
ショップカードの特典は、割引だけにしないほうが長く使われる

私の店の特典は、180円のパンか看板パンのどちらかです。値引き券ではなく、商品そのものを渡しています。
カード取得ボーナスは1枚目にだけ設定しています。
先ほどの表で、ボーナスが1枚目の11,561ポイントだけで2枚目以降は0になっているのはそのためです。
発行を促すボーナスと、来店を促すポイントを分けて設計していることになります。
割引一辺倒にしない理由
割引ばかりを特典にすると、通常価格で買う理由が弱くなり、値引きのときだけ来店する関係になりやすくなります。
商品そのものを渡しているのはそのためです。新商品の先行案内や季節限定品の優先予約も、価格以外の来店理由として機能します。
使用率53.7%は、裏を返せば発行した特典チケットの半分近くが使われないまま残っているということでもあります。
1枚目が51%で止まっているのは、渡した特典がその人の使いたいものになっていたか、と読むべき数字だと思っています。ここは私の課題です。
発行枚数や利用率は管理画面で見られます。私は以前から売上や客数を週に一度まとめて見ていて、そこにこの2つを加えました。増えた手間は数字を書き写す1分程度です。
リッチメニューへの掲載と店頭の一言が、再来店の導線をつくる

ショップカードは、公開しただけでは使われません。kobot.jpの解説でも、リッチメニューへの掲載は主要な機能の一つとして挙げられています。
トーク画面の下部に常に出ているボタンなら、配信を見逃した人でも自分から開けます。
これは友だちを増やしてきた経験とも重なります。1万人を超えたのは広告ではなく、店頭での一言とレジ周りのPOPの積み重ねでした。
QRコードのPOPを貼っただけの時期はほとんど読まれず、読む理由を一言添えてから増え始めています。ショップカードも同じです。
案内する場所と言葉を先に決める
案内する場所は、レジ周り、商品を渡すタイミング、レシート面など、目に入りやすい場所に絞ります。
声かけも「ご来店ごとにポイントが貯まります。5回でパンを1個お渡しします」のように一文にそろえると、忙しい時間帯でも全員が同じ案内をできます。
言葉をそろえることには、もう一つ意味があります。
案内がばらつくと、数字が動いた理由が分からなくなるからです。
友だちを増やす店頭導線の作り方は、実際に使ってきた声かけとPOPの設計を含めて、有料note「店舗集客の教科書」にまとめています。
まとめ|LINE公式アカウントのショップカードは、2枚目に進んでから効き始める
ショップカードは、紙のスタンプカードをLINEに置き換えただけの機能ではありません。
ポイント設計から発行後の数字の確認まで含めて、来店から次の来店までの導線を仕組みにする道具です。
1万枚以上を発行して分かったのは、1枚目を配った枚数より、2枚目に進んだ枚数のほうが店の状態をよく表すということでした。
特典チケットの使用率が、1枚目の51%から8枚目の90.9%まで段階的に上がっていく。この並びが、それを示しています。
今日から準備できることを並べます。
- 来店周期を書き出し、1枚目は届く距離にゴールを置く
- QRコードを読み取ってもらう場所を1か所に絞る
- リッチメニューにボタンを配置し、案内の言葉を一文にそろえる
- 特典は割引だけにせず、価格以外の来店理由も用意する
- 週に一度、2枚目への進行枚数と特典チケットの使用率を見る
紙のポイントカードをすでに配っているなら、いきなり切り替える必要はありません。
まずは下書きで試作し、リッチメニューへの掲載と店頭での案内だけを先に整えてみてください。
再来店の導線をどう組み立てているかは、有料note「店舗集客の教科書」で解説しています。
SNSをどの順番で育てるか迷っている場合は店舗のSNSはどれから始めるか、値引き以外の再来店施策を見直したい場合は飲食店のリピーターを増やす方法もあわせてどうぞ。






