太宰治の名言や格言【英語付き】人間失格などの作品から仕事や恋愛の参考になる言葉をまとめました
太宰治の名作と言えば、走れメロス、斜陽、人間失格など多岐に渡りますが、太宰治の本には大変参考になるセリフや文章があります。
この記事では、太宰治の名作の中から気になる言葉、名言や格言をまとめてピックアップしました。
日本を代表する小説家の言葉の数々から、あなたの人生にとって参考になる言葉が見つかれば幸いです。
もくじ
太宰治のプロフィール
1909年生まれの日本を代表する小説家である太宰治は、本名は津島 修治(つしま しゅうじ)という名で青森県で生を受けます。
父は、地元の名士であり、津島家は「金木の殿様」とも呼ばれていたほどで、学校の成績はすべて「甲」という最上位を学業レベルに関わらず付けられていたようです。
しかし、太宰治自身は成績も抜群に良く、開校以来の秀才と言われるほどだったそうです。
17歳のときに、小説「最後の太閤」を書いた事が作家のデビュー作品となりますが、その後フランス文学に憧れて東京帝国大学文学部仏文学科に入学する事となります。
しかし、授業にはほとんど出る事はなく、井伏鱒二へ弟子入りし本格的に小説家の道へと進む事になります。
学生時代には、4度の自殺未遂をするも、代表作となる「走れメロス」、「お伽草紙」、「斜陽」、「人間失格」などを残しましたが、最後も玉川上水で愛人と入水自殺をし、生涯を閉じました。
太宰治の有名な名言や格言【英語付き】
そんな精神的な面で不安定だった太宰治ですが、今もなおテレビドラマ化したり人気の高い小説家であり、数々の名言や格言を残していますので、ここから紹介していきます。
太宰治の名言 文スト
自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だ。
Don’t be merciful to yourself. If you have mercy on yourself, life is a never-ending nightmare.
自分で自分を憐れまなければ、惨めな気持ちにならずに済みます。
ネガティブな思考は、良い結果を生むことはなく、自らの人生すらマイナスに捉えてしまうことがあります。
人に何と言われようと、どう思われようと、自分を誇って自信を持って素敵な人生を送りましょう。
鬼は他者のうちにも鬼を見る。
The demon sees the demon among others.
自分が鬼になっていると他人のことも鬼に見えてしまいます。
誰しもが鬼のような恐ろしい部分を持っているのかもしれませんが、鬼ばかりに捕らわれていてはいけません。
他人と接する時は鬼のような自分ではなく、仏のように女神のように穏やかな自分でいましょう。そして相手の優しい部分が見えてきます。
求める価値のあるものは皆手に入れた瞬間に失うことが約束される。
Everything worth seeking is promised to be lost the moment you get it.
苦労して手に入れたものは、壊れてしまったり失くしてしまったりします。
どうせ消えてしまうなら最初から手に入らなければ、悲しい気持ちになることはありません。
何も求めずにただ無欲に時を過ごしていれば傷つくことはありませんが、そんな人生に生きている価値は見出せません。
太宰治の名言 勉強
日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させる。
Studying that is not directly useful in your daily life will complete your personality in the future.
子どもの時は何故勉強をしないといけないのか理解できずに学校に通っていました。
大人になっても実際必要ではなかったような科目もある気がします。
ただ、自分が見て聞いて学んで感じたことは、全て自分を形成する一部になっています。
知らないうちに役に立たないと思ったことを自ら役立てています。
勉強をしていて損することは何一つないので、心配せずに勉学に励みましょう。
太宰治の名言 人間失格
恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
I have lived a shameful life. I have no idea of human life.
人間失格の冒頭部分です。
人間らしい生活とは、どのようなものでしょうか。
恥の多い人生を送っている人は人間の生活ができていないのでしょうか。ただ、恥ずかしいと顔を赤らめたことがない人はいないはずです。
恥をかいて悔しい思いをしているうちに人間の生活が自然と身についてわかってきます。
神に問う。信頼は罪なりや。
Ask God. Trust is a sin.
愛する女性の純粋な気持ちを踏みにじられた時に、主人公が放つ名言です。
人を思う気持ちが罪になるはずがありません。ただ、残酷に打ち砕かれてしまいました。
女性はいつも人を疑うことを知らず、素直に周囲に笑顔を向けられるところが長所でした。
そんな素晴らしい長所を侮辱されて女性も主人公もひどく傷ついて、疑心暗鬼になってしまったのです。
信じることが取りえだったのに、それを否定されてしまったらなす術がありません。
人間、失格。 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。
Human, disqualified. I am no longer a human being at all.
どん底に落とされた主人公が発する名言です。
精神病院に入れられ、狂った人物として扱われることで、自分が人間ではなくなり人間以下の生きる価値のない存在だと、考えが行きついてしまいました。
どんなことをしても人間として合格にも失格にもなるはずがありません。
命がある限り、何度でも立ち上がることができ、やり直すチャンスは誰にでもあります。人間失格という概念はあってはならないものです。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。
Now I have neither happiness nor unhappiness. However, one thing goes by.
人間失格の終幕部分です。
気づいた時には主人公周りには何もなくなっていました。
病に侵された狂った人物になってしまった自分の周りには家族も誰もいません。
やることもなく、できることもなく、幸せとも不幸せとも感じないけれど、ただ時間だけは変わらずに過ぎていきます。
同じリズムで流れる時間とともに、ただ老いるだけの自分を嘆くことしかできません。
今、自分が幸福かどうかを考えられること自体が幸福なことなのかもしれません。
太宰治の名言 津軽
命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。
If you have a life, another day. Let’s go well. Don’t despair. Then, disrespect.
太宰治にしては、明るく楽天的な名言です。
命があればまたいつの日か会える時が来ます。永遠の別れというのは人が死ぬ時だけです。
悲しまずに望みを持って日々を送りましょう。会いたい人に会えなくてもまた別の素敵な人に会えるかもしれません。
太宰治の名言 愛
汝を愛し、汝を憎む。
I love you and hate you.
愛と憎しみは紙一重です。どちらも相手を思う気持ちが強いということです。
思い過ぎて愛していた人を憎んでしまうようになっていたら悲しいですね。
ほどほどに人を愛し、誰のことも憎まずに生きていけたらいいのでしょうが、簡単に加減できる愛は本当の愛ではありません。
太宰治の名言 斜陽
人間は恋と革命のために生れて来たのだ。
Humans were born for love and revolution.
恋多き男であり、若いころは左翼活動も行っていた、太宰治。
生きている間は、恋をするか革命を起こすかの2択だったのでしょう。
世間の人々に大きな影響をもたらした文豪であり、たくさんの女性との恋に溺れ、何度も自らの死を選びました。
生きる目的や意味を見失うと、すぐに人生を終えたくなるというのは残念です。
太宰治の名言 走れメロス
走るのだ。信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。
私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。
Run. Run because you are believed.
It doesn’t matter if you’re in time or not. Human life is not a problem either.
I’m running for something more horribly big.
人に信頼されているという事実は、大きな原動力になります。
たとえ目標が達せられないと分かっていても、命が助からないような状況でも、自分を信じてくれる人がいる限り頑張ることができますね。
大切な人との信頼関係を失うことが何よりも恐ろしく辛いことです。
離れていても話ができなくても、家族や友人という味方がいるという事実だけで強く生きていけます。
太宰治の名言 月が綺麗ですね
夏目漱石が、I love you. を「月が綺麗ですね」と訳した事は有名な話ですが、太宰治の言葉ではないようですが、夏目漱石と勘違いして検索されている事もあるようですね。
いずれにしても、しゃれた言葉の一つとして、「月が綺麗ですね」という言葉を使うのも口説き文句の一つとしては良いかもしれません。
太宰治の名言 死
人間は、めしを食べなければ死ぬから、そのために働いて、めしを食べなければならぬ、という言葉ほど自分にとって難解で晦渋で、そうして脅迫めいた響きを感じさせる言葉は、無かったのです。
太宰治の死生観には、難しいところがありますね。
何度も自殺や心中を計る人にとって、生きるために食べて、食べるために働くという図式は奇妙なものだったのでしょう。
働かなくても食べられるなら人は労働なんてしないでしょうし、食べなくても体に異常がないならいくらでも断食ができるかもしれません。
当たり前のように生活している人と違って、食べることや働くことを脅迫されて行っているなら辛く苦しい毎日でしょう。
太宰治の名言 映画
一緒に堕ちよう。
Let’s fall together.
女性に甘い言葉をささやいてばかりの太宰治の名言です。
最初から堕ちていくだけの恋なんて辛いだけです。ただ、どんな思いをしてでも一緒に居られるならそれでいいという愛があるのかもしれません。
世間から非難され、家族も友人も失って生きていくのは、並大抵の覚悟ではやり通せません。
愛されない妻よりもずっと愛される恋人の方がいいわ。
A lover who is loved much better than a wife who is not loved.
結婚には責任が伴います。愛し合って結婚するのでしょうが、愛だけではない関係になっていきます。
子どもの世話をして、家計をやりくりする妻こそ、最も愛すべき存在なはずなのに、いつの間にか愛は消えてなくなっていることがほとんどです。
もしくは、妻への愛が少しだけ残っていたとしても、愛人への思いの方が大きくなっていくばかりです。
愛の人と書く愛人には、愛しかありません。愛人の方が幸福度は高いというのも一理あります。
壊しなさい、私たちを。
Break us.
外で女と遊んでばかりで家庭を顧みない太宰治に惚れこんで、夫を許し続ける妻の名言です。
夫のせいで家庭が破滅しようが子どもが傷つこうが、何よりも夫への強くてまっすぐな思いが表れている一言です。
家庭を壊す親の気持ちなんて、子どもの立場からはとうてい理解できません。
親には大人の事情があるのでしょうが、振り回される子どもはただ逞しく育つしかありませんね。
太宰治の名言 影響
人は人に影響を与えることもできず、また人から影響を受けることもできない。
A person cannot influence or be influenced by a person.
私たちはたくさんの人から影響を受けて成長すると誰もが思っていましたが、事実は違うようです。
自分が変えられるのは自分だけで、嫌いな人や合わない人に無理強いはできません。
自分が変えられるのは自分だけです。問題があるなら周りではなく、自分に目を向けましょう。良い影響を与えられます。
太宰治の名言 大人
大人とは、裏切られた青年の姿である。
An adult is a betrayed young man.
汚れのない赤ちゃんから青年期にかけては、大人のずるい部分や理不尽に成り立つ社会の構造を知らずに生活ができます。
ただ、大人になって仕事人として活躍し始めると、世の中が正義だけではないことに気づきます。
子どもの頃に憧れたヒーローは存在しませんでした。裏切られた青年を大人と呼びましょう。
太宰治の名言 桜桃
いつでも、自分の思っていることをハッキリ主張できるひとは、ヤケ酒なんか飲まない。(女に酒飲みの少ないのは、この理由からである)
日常に不平不満を抱えて生きている人は、ヤケ酒を飲んで気が大きくなっている時だけ、好き勝手思っていることを口にできます。
抱え込まずにストレスを発散できたり、上手に解決できたりすれば、自暴自棄にならなくて済みます。
女性の方が上手に自分の意見を通して、感情を放出しながら生きていけるものなのでしょう。
時には理性だけでなく感情に従ってもみましょう。酒代がかからなくなります。
太宰治の名言や格言が学べるおすすめの本
続いて、太宰治の言葉をもっと学びたいという時におすすめしたい書籍をいくつかピックアップしました。
太宰治の絶望語録
太宰が生んだ130の「絶望名言」を収録した一冊。
人生に絶望するというのは、一見最悪のように思えますが、最悪だからこそあとは這い上がるだけと思えば、絶望名言から希望を見出す事も出来るのでは無いでしょうか。
人間失格
太宰文学の「最高のかたち」の「遺書」と称される名作。
斜陽
人間失格に並ぶ、太宰治の代表作品です。