同調現象とは何?心理学やマーケティングで使用される実例付きで分かりやすく解説します
人は同調現象と呼ばれる効果が、心理の内面で起きる事があります。
同調現象を上手くマーケティングや心理学で応用し、見込み客の心を掴む事も可能です。
ここでは同調現象の実例を挙げながら、マーケティングや心理学にも応用できる方法を検証していきます。
もくじ
同調現象とは
同調現象とは、自分の考えはあるものの、周りの意見に合わせたり、行動を共にしたりするといった人間の心理や行動を社会心理学で示した用語の一つです。
日本では、
「右に倣え」
「長いものには巻かれろ」
「出る杭は打たれる」
といった言葉があるように、同調現象が起こりやすい民族と言われており、これは島国や鎖国が長く続いた事も影響しているのか、独自の価値観が根付いている事が起因していると言われています。
また、長年の村文化などに象徴されるように、個性より和を重んじる傾向や、年長者の意見を尊重する風習もある事から、自分の意見を言う事は、村そのものを否定している事に繋がると見なされる可能性があります。
さらに「KY」といった造語が出来たように、日本では「空気を読む」、忖度(そんたく)する事は当たり前になっているところもあり、暗黙の中で場に応じた適切な意見、態度、行動が求められます。
これらすべての行動は、同調現象と言えます。
同調現象に関する実証実験
これら「同調現象」に関しては、ポーランド出身の社会心理学者であるソロモン・アッシュが、1951年に実証実験が行っています。
アッシュの同調現象の実験方法ですが、
- 8人の人間を実験室に集めます。
- 参加者8人に2つの図(AとB)を見せました。
- Aには線が1本のみ、Bには長さのそれぞれ異なる3本線が描かれていました。
- Aの線と同じ長さを、Bの3本線の中から選ばせました。
ちなみに、Bの図に書かれた線の長さは、Aと比べて明らかに長さの違うものだと分かるようになっていたので、誰でも正解できるような状況だったのですが・・・
サクラ全員が「不正解の回答」をさせたところ・・
- サクラ全員が正解を回答した設問(18問中6問)は、被験者もすべて正解している。
- 残りの12問は、サクラ全員が不正解を回答すると、被験者も同調するかのように、不正解するという傾向が現れました。
- 被験者の中の25%が、正解を答え続けましたが、他の被験者は不正解に同調する結果になりました。
と75%もの被験者が、周囲の間違った意見に合わせるという行動が見られたのです。
同調現象をマーケティングに応用可能?
では、このような心理状態をマーケティングに応用する事は出来ないのか?
考えてみたところ、
- 口コミを収集する
- レビューや体験談を書いていただく
という方法で、同調現象を引き出す事は出来るのでは無いか?と考えます。
例えば、キャッチコピーやCTAの近くで
- 満足度98%以上
- 業界ナンバーワンのシェア獲得
- 50代主婦の9割が効果を実感
- 今、売れています!
などといったように、「多くの人に支持されています」「多くの人に喜ばれています」といったような表現を用いる事は、同調現象を引き出すのに非常に有効です。
他の商品より目立たせたい、売りたい商品がある場合に「同調現象」を使ってみる事で、注目を集めたい商品の魅力を引き立たせることにも繋がります。
同調現象をマーケティングに応用するポイント
同調現象は、いわゆる「煽り」を用いた表現というよりは、相手に分かりやすく、商品の特徴や強みを伝える事が大事になります。
商品の特徴や強みを尖らせるには「コンセプト設計」が、とても重要になってきますが、その時に考えて頂きたいのが、
- 機能的価値
- 情緒的価値
についてですが、
1つ目の「機能的価値」ですが、その商品やサービスの機能面や品質面において、顧客に提供できる価値の事です。
簡単に言えば、商品それ自体の機能面を説明する事で、例えば電子レンジであれば
「○○分で温めが完了します」
「○○種類の調理が可能です」
といったものになります。
2つ目の「情緒的価値」ですが、その商品やサービスを見たり、利用したりした際に、顧客が体感できる精神的な側面での価値の事です。
同じく、電子レンジを販売する場合では
「家族に温かい、美味しいと褒めてもらえる、あなたの心のホットさを、そのまま電子レンジの温度で表現します」
のようなキャッチコピーです。
その商品を通して、購入者や周りにどのような感情を手にしてもらえるか?を想像し、キャッチコピーなどにしていきます。
どちらかと言えば、機能的価値は男性受けしやすいのに対し、情緒的価値は女性受けしやすいですが、他社との差別化を図るという点では情緒的価値を念頭に置いて、同調現象が起きるようなマーケティングを考えると良いでしょう。
同調現象を心理学に応用可能?
マーケティングだけでなく、心理学にも応用が可能な同調現象ですが、特にビジネスに応用が可能なものとして「バンドワゴン効果」が挙げられます。
同調現象に似たバンドワゴン効果はマーケティングによく活用される
同調現象と同じような効果を持つものとして「バンドワゴン効果」と呼ばれる心理効果があります。
バンドワゴン効果は、流行だったり、行列だったりに反応する人の心理状態の事を表したものです。
例えば、
「人が持っているから自分も欲しい、流行に乗り遅れたくない」
「行列の並ぶラーメン店に並んで食べたい」
という気持ちになった事はありませんか?
これは、同調現象やバンドワゴン効果といった心理状態が働いているためです。
特に、日本人が行列が出来るお店に並んででも入りたいという気持ちが起きやすいのは、前述の通り村意識だったり、集団意識が根強く残っているところも関係していると思われます。
同調現象を上手く活用した実例
次に、同調現象が起きる実例をいくつかまとめましたので、参考にして下さい。
同調現象が起きた選挙
A党とB党が票を取り合っている選挙活動の最中で、A党が優先で7割程度の人がA党を支持し、3割の人がB党を支持している状態とします。
このような状態の時に、A党有利といった報道などが行われると、人は同調現象を起こし、B党からA党の「多数派へと意見を変えていく」という事があります。
また、少数派となったB党でも、集団を逸脱している事を表明したくないので、意見を変えるまではしなくても「沈黙を貫く」ようになり、B党の勢いがしぼんでいくという事が起きます。
これらすべての現象は、同調現象によるものだと言われていますが、世論もこのようにして形成されていると見られます。
同調現象が起きる食べログなどのサードパーティ
前述の通り、口コミやレビューは、多くの意見を参考にする事ができ、また効率的かつ客観的に良いものを選択できるという点で有効です。
飲食関係で言えば、「食べログ」をはじめとするサードパーティのサイトは、大勢の口コミに溢れているので、同調現象が起きやすいです。
そこから考えると、
- 高評価
- 受賞
- 流行り
といった言葉は、同調現象を起こしやすいのでは無いでしょうか。
最近では、Googleマイビジネスの評価を参考にする方やSNSなどでインフルエンサーの評価を参考にするケースも見られますが、全て同調現象の一種と言っても良いでしょう。
同調現象のまとめ
同調現象は周囲に意見や行動を合わせる、人の心理状態を表した社会心理学用語の一つですが、上手く活用すればマーケティングやセールスに応用が可能です。
しかし、一方で、自分自身が同調現象が起きている状態を考えた場合に、
- 自分の意見や個性がなくなる。
- いじめや偏見に繋がる。
- 間違った事でも肯定してしまう。
といったデメリットもありますので、時と場合によります。
また、同調現象で煽って商品を売りつけるといった事が横行すると、後々にトラブルを引き起こす事もありますので、注意が必要です。
見込み客があなたの商品やサービスを納得して購入するためにも、同調現象を上手く活用し、お客様に納得して購入いただくにはどうすれば良いか?
を念頭に、サービスづくりをしてみてはいかがでしょうか。