潜在意識とは?意味・顕在意識との違いを具体例でわかりやすく解説
潜在意識とは、普段は自覚していないのに、判断や反応に影響している心の働きのことです。
過去の経験や繰り返してきた習慣、いつのまにか身についた価値観が土台になっていて、本人が考えるより先に「いつもの選択」を用意します。
この記事では、意味と顕在意識との違いから、日常への生かし方までを順番に見ていきます。
もくじ
潜在意識とは?意味をわかりやすく解説

まずは言葉の意味からです。
潜在意識という言葉は、日常会話でも自己啓発の本でも見かけますが、使う人によって指している範囲が少しずつ違います。
ここでは、いちばん広く通じる意味を押さえておきます。
潜在意識を一言でいうと、普段は自覚していない心の働き
潜在意識とは、自分では意識していないのに、ものの見方や反応に影響している心の働きを指します。
たとえば、通い慣れた道を歩いているとき、曲がり角でどちらに進むかをいちいち考えてはいないはずです。
それでも足は勝手に正しい方へ向かいます。過去に何度も通った経験が、考える前に判断を済ませてくれているからです。
同じことが、買い物や人づきあい、仕事の進め方にも起きています。何を選ぶか、どう受け取るか、どこで気が進まなくなるか。
そうした反応の多くは、過去の経験、記憶、繰り返してきた習慣、身についた価値観が組み合わさって出てきます。
自分では「今、自分で決めた」と感じていても、決める材料はそれ以前に用意されている、というイメージが近いと思います。
ここで押さえておきたいのは、潜在意識は特別な能力ではないということです。
誰にでもあり、毎日働いています。眠っている力を呼び起こすという話ではなく、すでに動いているものに気づくかどうか、という話です。
潜在意識と無意識は同じ?言葉の使われ方の違い
「潜在意識」と「無意識」は、日常会話ではほとんど同じ意味で使われます。
ただ、心理学の分野では扱いが違います。
アメリカ心理学会(APA)の心理学辞典を引くと、subconscious(潜在意識)は一般の人が使う言葉として説明されていて、フロイトのいう無意識や前意識、あるいは意識にのぼらない知覚といったものを、まとめて指す語として広まったと書かれています。
そして、意味の範囲がはっきりしないため、心理学者のあいだでは現在この語はあまり使われないとされています。
自己暗示や催眠と結びつけて語られてきた歴史も、あわせて記されています。
一方の unconscious(無意識)は、精神分析の理論の中で定義された用語です。
自覚できないところにあって、思考や行動に影響を与える記憶や感情、抑え込まれた衝動が置かれている領域を指します。
さらに近年は、精神分析の「無意識」と区別するために、単に自覚がないという意味では nonconscious(非意識)という語を使うことが増えている、とも説明されています。
用語を整理すると、次のようになります。
- 潜在意識:日常語。意味の幅が広く、心理学の専門用語としては現在あまり使われない
- 無意識:精神分析の理論の中で定義された用語
- 非意識:単に自覚がない状態を指す、より中立的な言い方
つまり、「潜在意識」という言葉が出てきたときは、書き手がどの意味で使っているのかを見る必要があります。
この記事では、日常語としての潜在意識、つまり「自覚していないのに影響している心の働き」という意味で使っていきます。
もう一つ、区別しておきたいことがあります。潜在意識は「意識を失っている状態」ではありません。気を失う、麻酔で眠るといった状態とは別のものです。起きていて、会話もできて、仕事もしている、その最中に働いているのが潜在意識です。
自己暗示という切り口からこのテーマに入る方も多いので、そちらは自己暗示の効果的な使い方を心理学でわかりやすく解説した記事にまとめてあります。
潜在意識と顕在意識の違いは?具体例で比較

潜在意識を理解するには、その反対側にある顕在意識とセットで見るのが早道です。
両方が同時に働いていて、ときどき食い違う。この食い違いが、多くの人の悩みの正体だと思います。
顕在意識は、自分で気づいている考えや判断
顕在意識は、自分で気づいている考えや判断のことです。
今日の予定を組み立てる。買う前に値段を比べる。言いたいことを言葉にする。相手の話を聞いて返事を考える。
こうした働きは、自分で「今、考えているな」と分かります。理由を聞かれれば説明もできます。
顕在意識の強みは、意図的に使えることです。立ち止まって考え直したり、いったん保留にしたり、あえて違う選び方を試したりできます。
一方で、集中して使い続けると疲れるという弱点もあります。だから人は、繰り返しやることをどんどん自動化していきます。その自動化された部分が、潜在意識の働きとして表に出てきます。
顕在意識が邪魔者で、潜在意識が万能、という話ではありません。
役割が違うだけです。毎回すべてを意識して決めていたら、朝の身支度すら終わりません。
「変えたい気持ち」と「いつもの習慣」が食い違う例
とはいえ、この二つが食い違う場面はよくあります。
明日から早起きすると決めたのに、目覚ましを止めて二度寝する。新しい調味料を試そうと思っていたのに、売り場では結局いつものものを手に取る。
今度こそ本音で話そうと決めていたのに、その場になると当たり障りのない返事をしている。
決意したのは顕在意識です。
実際に動いたのは、これまで何百回と繰り返してきた反応のほうでした。
意志が弱いから、と自分を責める方が多いのですが、私はそう見ていません。
繰り返した回数が違うだけです。二度寝を何年も続けてきた人と、早起きを一晩決意した人では、体に入っている量が違います。
だとすれば、やるべきことは自分を責めることではなく、繰り返す側を少しずつ入れ替えていくことになります。ここは後半でくわしく扱います。
二つの違いを表にすると、次のようになります。
| 顕在意識 | 潜在意識 | |
|---|---|---|
| 自覚できるか | 自覚できる。今考えていると分かる | 自覚しにくい。あとから気づくことが多い |
| 言葉にしやすいか | 説明できる。理由を言える | 説明しにくい。「なんとなく」になりやすい |
| 日常の例 | 予定を組む、値段を比べる、返事を考える | 通い慣れた道を曲がる、いつもの商品を選ぶ |
| 行動との関係 | 意図して選べるが、使い続けると疲れる | 労力がかからず、放っておくと同じ選択が続く |
顕在意識は方向を決めるのが得意で、潜在意識は同じことを続けるのが得意、と考えると整理しやすいと思います。
潜在意識の働きはどんな場面に表れる?身近な3つの例

では、実際にどんな場面で表に出てくるのでしょうか。説明のためによく挙げられる例を3つ紹介します。
あなた自身に思い当たる場面があるかどうか、確かめながら読んでみてください。
気づくといつもの商品やお店を選んでいる
スーパーの棚の前で、ほとんど迷わずに同じメーカーの商品をかごに入れる。
ランチのとき、店を探すつもりが、気づけばいつもの店に向かっている。
味や値段を比べて選んだのではなく、何度も選んできたから今日も選んだ、という順番になっている場面です。悪いことではありません。
毎回すべてを比較していたら買い物は終わりませんし、慣れた店は失敗が少ない。
ただ、「今の自分にとって、これがいちばん良い選択か」と問い直す機会は減ります。
同じものを選び続けているという事実に気づくこと自体が、選び直しの入口になります。
失敗した経験を思い出し、挑戦をためらう
新しい役割を打診されたとき、内容を聞く前に「たぶん無理だ」と感じる。
似た場面で過去にうまくいかなかった記憶があると、この反応は出やすくなります。
このとき起きているのは、過去の一件と、目の前の話を、同じものとして扱ってしまうことです。
条件も相手も準備の量も違うのに、感覚のほうが先に結論を出します。
ここで気をつけたいのは、ためらいの原因を心の働きだけに求めないことです。
単純に時間がない、必要な技術をまだ持っていない、家庭の事情で動けない。
そういう現実的な理由が重なっていることも多いはずです。両方を分けて見ないと、対処のしようがありません。
相手の一言を、自分の思い込みで受け取ってしまう
「あれ、どうなってる?」と聞かれただけなのに、責められたように感じる。
返信が短いだけで、怒らせたのではないかと気になる。
言葉そのものより、その言葉をどう受け取る癖があるかが効いています。
過去に強く叱られた経験があれば、確認の質問が非難に聞こえやすくなります。
これも、受け取り方だけの問題とは限りません。相手が本当に急いでいた、言い方がきつかった、
関係がもともと緊張していた。事実として起きていることもあります。
自分の受け取り方を疑うのと同時に、状況そのものを見ることが必要になります。
3つとも、説明のための一般的な例です。行動や感情の原因を潜在意識ひとつに絞ると、かえって手が打てなくなります。
潜在意識はどう形成される?経験・習慣・思い込みとの関係

自覚していない反応は、どこから来るのでしょうか。
大きく分けると、経験、繰り返し、そこから生まれた思い込みの3つが関わっています。
過去の経験がものの見方に影響する
同じ出来事に出会っても、人によって受け取り方が違います。
プレゼンで質問が飛んできたとき、関心を持たれたと受け取る人もいれば、粗探しをされたと受け取る人もいます。
この差は、それまでにどんな経験を重ねてきたかで生まれます。
出来事そのものには意味がついていません。意味づけをしているのは受け取る側です。
そして、その意味づけは自動的に、考えるより先に行われます。
ここで気をつけたいのは、幼少期にすべてが決まるという言い方をしないことです。
育った環境の影響は小さくありませんが、その後の経験でも見方は変わります。
転職して評価のされ方が変わった、まったく違うタイプの人と一緒に働いた、といったことで受け取り方が変わっていくのは、多くの方が経験しているのではないでしょうか。
繰り返す行動が習慣になっていく
同じ場面で同じ行動を繰り返していると、だんだん労力がかからなくなります。
最初は意識してやっていたことが、いつのまにか考えなくてもできるようになる。この移り変わりが習慣です。
習慣ができる過程を実際に測った研究があります。ロンドン大学のフィリッパ・ラリーらは、96人の参加者に、毎日同じ場面で行う行動をひとつ選んでもらい、12週間続けてもらいました。
自動的にできていると感じる度合いを毎日記録してもらった結果、行動が自動化の頭打ちに近づくまでの日数は、モデルがよく当てはまった39人のなかで中央値66日、幅は18日から254日でした。
この数字で大事なのは、66日という中央値よりも、18日から254日という開きのほうだと思います。
同じことを続けても、身につく早さは人によって、行動によってまったく違う。研究者自身も、非常に長い時間がかかりうると指摘しています。
もうひとつ、この研究で報告されているのは、一日やり損ねても習慣化の流れそのものは目立って損なわれなかったという点です。
一日抜けたから振り出しに戻る、ということではありません。
思い込みに気づくと、別の選択肢を考えられる
経験が意味づけをつくり、繰り返しがそれを固めていく。すると、「そういうものだ」という前提ができあがります。これが思い込みです。
思い込みは悪者ではありません。判断を省いてくれるおかげで、日常が回っています。
困るのは、状況が変わったのに前提だけが残っている場合です。
厄介なのは、思い込みは思い込みだと自覚されないことです。
事実として感じられます。だからこそ、気づいた時点で状況は変わります。「無理だ」と感じたときに、それが判断なのか感覚なのかを見分けられれば、少なくとも別の選択肢を並べて考えることはできます。
変化に抵抗を感じることを、体温や血糖を一定に保つ体の仕組み(ホメオスタシス)と結びつけて説明する本もあります。
ただ、生理的な調節と、慣れたやり方を続けたいという心理的な傾向は、同じ仕組みとして確かめられているわけではありません。
分かりやすい比喩として受け取るくらいがちょうどよいと思います。
潜在意識に科学的根拠はある?引き寄せとの違いも整理

ここが、多くの方が知りたいところではないでしょうか。
潜在意識をめぐる話には、研究で扱われているものと、そうでないものが混ざっています。分けて見ていきます。
無意識の働きの研究と、願望が叶うという主張は分けて考える
自覚のない情報処理、習慣、自動的な判断は、心理学の中で長く研究されてきたテーマです。
先ほど紹介した習慣化の研究もそのひとつですし、人が自分の判断の理由を正しく説明できないことがある、といった知見も蓄積があります。
一方で、「強く願えば外の出来事が変わる」という主張は、これとは別の話です。自分の中の反応や行動が変わることと、自分の外で起きる出来事が変わることは、まったく違う種類の主張だからです。前者には研究の蓄積がありますが、後者を裏づける信頼できる研究を、私は見つけられていません。
願うこと自体を否定したいわけではありません。目標をはっきりさせると、それに関係する情報が目に入りやすくなったり、行動の優先順位が変わったりします。
ただ、それは自分の側が変わった結果であって、世界の側が動いたわけではない、という整理です。
この区別をしておくと、うまくいかなかったときに「願い方が足りなかった」と自分を責めずに済みます。
「潜在意識は90%・95%」という数字はどう捉える?
潜在意識が90%、顕在意識が10%。95%という数字を見かけることもあります。氷山の絵と一緒に説明されることが多い、おなじみの数字です。
この記事を書くにあたって出どころを調べましたが、同じ定義で同じ数値を示している信頼できる一次資料は確認できませんでした。
そもそも、意識と無意識の割合を測るには「何を分母にして、何を数えるのか」を決める必要がありますが、その定義自体が定まっていません。
ですので、この数字は事実として扱わないほうがよいと考えています。
氷山の絵は、自覚できている部分が全体の一部にすぎない、という感覚をつかむための比喩として使うぶんには分かりやすい。ただ、比喩を数字にした瞬間に、確かめられていないことが事実のように見えてしまいます。
私はこのサイトで以前、この数字を一般的な事実として書いていました。今回、根拠をたどり直して書き改めています。
フロイト・ユングの理論と集合的無意識の位置づけ
自覚されない心の領域に注目した人物として、まず名前が挙がるのがジークムント・フロイトです。
精神分析の理論の中で、自覚できないところにありながら思考や行動に影響する領域として無意識を位置づけました。
その流れをくむカール・グスタフ・ユングは、集合的無意識という考え方を示しました。
APAの心理学辞典では、ユングによれば人類に共通し、原型(アーキタイプ)と呼ばれる観念やイメージの形で、神話や宗教といった文化現象や夢に現れる、無意識のもっとも深い層である、と説明されています。
注意したいのは、辞典の記述が「ユングによれば」という形をとっていることです。
歴史的に大きな影響を与えた理論として紹介されているのであって、実証された事実として書かれているわけではありません。
ですので、離れた場所にいる人や動物が集合的無意識を通じてつながる、という説明を科学的な事実として使うことはできません。
「100匹目の猿」の話や、火事場の力で車を持ち上げたといった逸話も同じです。読み物としては面白いのですが、潜在意識の証明にはなりません。
私は以前これらを根拠として紹介していましたが、今回それをやめました。
小学生のころの作文に将来の夢を書き、その通りになった人の話もよく引き合いに出されます。
目標を具体的に書くこと、そこへ向けて練習を積み重ねることには意味があると思います。
ただ、書いたから叶ったという因果を言い切ることはできません。同じように書いて叶わなかった人のことは、記事に残らないからです。
潜在意識を「書き換える」とは?考え方と習慣を見直す4つの方法

「潜在意識を書き換える」という言い方をよく見ます。これは、無意識の領域を直接操作するという意味ではありません。
この記事では、自分が繰り返している考え方や反応に気づき、別の反応や行動を少しずつ重ねていくこと、という比喩として使います。
魔法のスイッチではないので、時間はかかります。ただ、やることははっきりしています。
まずは繰り返している考えや反応を書き出す
最初にやることは、変えることではなく、見えるようにすることです。
自覚していないものは扱えません。だから、書き出します。
うまくいかなかった場面、気が重くなった場面、後で悔やんだ場面。そのとき何が起きて、最初に何を思ったかを、短くていいので残しておきます。
数日分たまると、同じ考えが何度も出てくることに気づきます。「どうせ自分は」「また失敗する」「嫌われたかもしれない」。この繰り返しこそが、変えたい対象です。
書き方の例を挙げておきます。
| 振り返る項目 | 記入例 |
|---|---|
| 起きた場面 | 新しい仕事を頼まれた |
| 最初に浮かんだ考え | 自分には無理だ |
| 別の見方 | 全部ではなく一部なら試せる |
| 次にする小さな行動 | 必要な作業を3つに分ける |
大事なのは4行目です。別の見方を考えて終わりにすると、頭の中で完結してしまいます。次にする行動まで決めておくと、繰り返す側に手が届きます。
セルフトークを、自分が納得できる言葉に整える
自分に向けた言葉を整えるやり方は、アファメーションやセルフトークと呼ばれます。私も長く使ってきましたが、ひとつ知っておいてほしい研究があります。
カナダのウォータールー大学のジョアン・ウッドらは、2009年に心理学の学術誌『Psychological Science』で、肯定的な自己陳述の効果を調べた研究を発表しました。
参加者に「私は愛される人間だ」といった言葉を繰り返してもらったところ、自尊心が低い人たちでは、繰り返さなかった人よりも気分が悪くなりました。
自尊心が高い人たちでは気分が良くなりましたが、その程度は限られていました。
研究者らは、肯定的な言葉の繰り返しは、それをもっとも必要としている人にこそ裏目に出うると述べています。
この研究ひとつでセルフトーク全体を否定するつもりはありません。調べられたのは、自分の実感と離れた強い肯定文を繰り返した場合の短期的な気分です。
ただ、示された範囲だけでも、実務的に意味のあることが分かります。
自分が今の時点で受け入れられない言葉を唱えても、逆効果になりうる、ということです。「私は年収1億円だ」が的外れに感じるなら、その違和感のほうが正しい。
そこで私は、自分が納得できる範囲まで言葉を下げることをすすめています。
- ×「私は誰からも好かれている」→ ○「うまくいった関係も、いくつかある」
- ×「私は何でもできる」→ ○「前の仕事も、最初は分からないところから始めた」
- ×「お金は無限に入ってくる」→ ○「今月は先月より少し多く残せた」
事実に足がついていて、なおかつ自分に不利ではない言い方を探す作業です。
言葉の強さより、自分がうなずけるかどうかを基準にしてください。
アファメーションのやり方そのものは、潜在意識の書き換えに行うアファメーションの効果的なやり方をまとめた記事でくわしく扱っています。
目標を小さな行動に分け、試して振り返る
考え方だけを変えようとすると、たいてい続きません。行動が変わらないと、これまでの反応を裏づける経験ばかりが積み重なるからです。
だから、目標は小さく割ります。「早起きする」ではなく「アラームを止めたら、まず座る」。
「本を読む」ではなく「寝る前に1ページだけ開く」。
物足りないくらいの大きさにするのが要点で、これは何年も言われてきた地味なやり方です。
先ほどの習慣の研究にもあったように、身につくまでの期間は人によって大きく違います。3週間で楽になる人もいれば、半年以上かかる人もいる。
だから、他人の期間と比べる意味はあまりありません。
一日できなかったときも、そこで終わりにしなくて大丈夫です。
研究では、一日抜けても習慣化の流れは目立って損なわれていませんでした。翌日に戻せばいい、というくらいの構えのほうが続きます。
続ける中で、うまくいかなければやり方を変えます。
時間帯を変える、置き場所を変える、量を減らす。試して、様子を見て、また変える。この繰り返しが実際のところの中身です。
瞑想で自分の考えや感情を観察する
自分の考えに気づく訓練として、瞑想を挙げておきます。
私自身、早朝に15分、マインドフルネス瞑想をする習慣を続けていた時期があります。
やってみて感じたのは、劇的な変化を期待すると肩透かしを食うということでした。座っている最中は、雑念が浮かんでは消えるだけです。
それでも意味があると思うのは、「今、自分は同じことをぐるぐる考えているな」と気づける回数が増えるからです。
考えの中に入り込んでいるときは気づけません。少し離れたところから眺める時間を持つと、その差が分かるようになります。
呼吸に注意を向けて、意識がそれたら戻す。それだけの単純な作業です。
5分から始めても構いません。合わなければやめてよいと思いますし、ヨガやストレッチのように体を動かすものが向いている方もいます。
瞑想の一種として、慈悲の瞑想のやり方をまとめた記事も用意しています。
潜在意識を仕事・お金・人間関係にどう生かす?

ここまでの内容を、身近な場面に当てはめてみます。共通しているのは、思い込みの部分と、現実の状況の部分を分けることです。
仕事では「自分には無理」という前提を見直す
新しい仕事を前にして「自分には無理だ」と感じたとき、その中身を分けてみてください。
分けるのは、
- 経験がないから怖いのか
- 必要な技術が実際に足りないのか
- 時間や体力が物理的に足りないのか
という3つです。
1つ目は前提の問題なので、小さく試せば動かせます。
2つ目は学べば埋まる可能性があります。
3つ目は、そもそも引き受けるべきでないかもしれません。
「無理」の一言でまとめている限り、どれなのか分かりません。
分けた上で、動かせるところから手をつけます。仕事の成果は、本人の考え方だけでなく、相手や環境、タイミングにも左右されます。
前提を見直したからうまくいく、という単純な話にはなりません。
お金では思い込みと現実の状況を分けて考える
お金については、早い時期に受け取った言葉が残りやすい領域だと感じます。
「お金は労働の対価」「働かざる者食うべからず」「お金持ちは何か悪いことをしている」。
こうした言葉を子どものころに繰り返し聞いていると、収入を増やす方法を考えること自体に、うっすらとした後ろめたさがついて回ります。
こうした前提に気づくことには意味があります。
ただ、家計が苦しい理由を思い込みだけで説明することはできません。
収入の水準、地域の相場、家族の状況、健康、業界の景気。動かせない条件は実際にあります。
私がすすめたいのは、まず数字を出すことです。
思い込みの話をする前に、毎月いくら入っていくら出ているのかを紙に書く。数字が出ると、感情の問題と条件の問題が自然に分かれます。
お金にまつわる思い込みの外し方は、潜在意識でお金を引き寄せる方法をまとめた記事で扱っています。
恋愛・人間関係では相手の気持ちを決めつけない
人間関係では、「結婚生活は我慢が大事」「あの人とは結ばれない運命」「告白しても上手くいくわけがない」といった前提が、行動の手前で結論を出してしまうことがあります。
こうした言葉は、たいてい自分で決めたものです。
相手が言ったわけではありません。ここに気づくだけでも、選べる幅は広がります。
ただし、人間関係には相手がいます。自分の受け取り方を整えれば思い通りになる、ということはありません。
相手には相手の事情と気持ちがあって、それはこちらの心の持ちようで動くものではないからです。
できるのは、決めつけを外して、聞いてみる、伝えてみる、という行動を取れるようにしておくことくらいだと思います。
結果は相手が決めます。そこを混ぜないほうが、お互いに楽になります。
潜在意識についてよくある質問

読者の方からよく届く質問に答えます。
考え方や習慣が変わるまで、どのくらいかかる?
一律の日数はありません。
先ほど紹介したラリーらの研究では、行動が自動的にできていると感じるところまでの日数は、18日から254日と大きく開いていました。
中央値は66日でしたが、これは39人分のデータの真ん中というだけで、誰にでも当てはまる目安ではありません。
行動の内容によっても違います。水を一杯飲むような簡単なものと、運動のように準備がいるものでは、身につく早さは変わります。
ですので、「何日でできるようになるか」より、「今週、何回できたか」を見るほうが実用的だと思います。回数が積み上がっていれば、時間は後からついてきます。
寝る前に潜在意識へ働きかけると効果がある?
寝る前だけに特別な効果がある、とは言えません。
寝る前の時間が習慣にしやすい、というのは確かにあります。
日課の終わりにあたるので、同じ場面を繰り返しやすい。習慣は同じ場面で繰り返すほど定着しやすいので、その意味では理にかなっています。
ただ、それは「寝る前だから潜在意識に届きやすい」からではなく、「毎日同じタイミングで繰り返せるから」です。
朝でも昼でも、続けやすい時間帯であれば構いません。自分が忘れずにできる時間を選んでください。
ネガティブな感情があると、悪いことが起こる?
そうは考えていません。
不安や落ち込み、怒りといった感情は、誰にでも出てきます。
出てくること自体に問題はありませんし、それが悪い出来事を呼び寄せるという因果を示す根拠はありません。
むしろ気をつけたいのは、「ネガティブな感情を持ってはいけない」と考えることのほうです。
感情を打ち消そうとするほど、そこに注意が向きます。先ほどの研究が示したように、自分の実感と離れた前向きな言葉を無理に唱えることが、かえって気分を下げる場合もあります。
感情は、判断の材料として扱うのが現実的です。
気が重いなら、その場面に何か引っかかることがある。焦っているなら、無理な予定を組んでいるかもしれない。
感情を消そうとせず、そこから次の行動を考える。そういう使い方をおすすめします。
まとめ|潜在意識を知ることは、自分の選び方に気づくこと

最後に、ここまでの内容を短く振り返ります。
潜在意識とは、普段は自覚していないのに、判断や反応に影響している心の働きのことです。
日常語として広く使われている言葉で、心理学の専門用語である「無意識」とは使われ方が違います。
顕在意識は自覚できて説明もできる一方、使い続けると疲れます。潜在意識は労力がかからない代わりに、放っておけば同じ選択が続きます。
この二つが食い違うのが、決めたのに続かない、という場面の正体です。
書き換えるといっても、無意識を直接操作できるわけではありません。
繰り返している考えを書き出し、自分が納得できる言葉に整え、目標を小さく割って試し、瞑想のように自分を眺める時間を持つ。
やることは地味なものばかりです。習慣が身につくまでの期間には大きな個人差があり、他人と比べる意味はあまりありません。
そして、仕事もお金も人間関係も、心の持ちようだけで決まるものではないと思っています。
思い込みの部分と、現実の条件の部分を分けて見る。分けたうえで、動かせるほうに手をつける。それが、この記事でいちばん伝えたかったことです。
今日できることをひとつ挙げるなら、今日何気なく選んだ行動を、ひとつだけ振り返ってみてください。
いつもの店に入った、いつもの返事をした、いつもの時間に寝た。なぜそれを選んだのかを考えると、たいてい理由は出てきません。
理由が出てこない選択があると気づくところが、出発点になります。








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