部下が育たない本当の原因|任せていないか、辞めさせているか

部下が育たない

部下が育たないと感じるとき、原因は本人のやる気ではないことがほとんどです。

結論から言うと、育たない職場で起きていることは2つに分かれます。任せていないから育つ機会がないか、育ちかけた人が辞めていく構造になっているかです。

どちらも、上司の側で変えられます。

私はパン屋を2店舗運営しています。以前は自分でやったほうが早いと考えて仕事を抱え込み、スタッフに同じ作業だけを回していました。

任せ方を変えてからは、人を入れ替えずに人件費率が38.8%から31.5%まで下がっています。

この記事では、部下が育たない原因と、今週から変えられる手順をまとめます。

もくじ

部下が育たないのは上司の責任か|責任の範囲は「機会と条件」まで

部下が育たない 上司

部下が育たないのは上司の責任か、という問いへの答えは、半分そうで半分違います。

成長するかどうかを決めるのは本人ですが、成長する機会と条件を用意するのは上司の仕事です。

責任があるのは、結果ではなく設計

本人のやる気まで背負い込むと、上司が消耗します。

逆に「本人次第」と切り離すと、何も渡さないまま評価だけする上司になります。

線引きはここです。任せる仕事の範囲、教える順番、失敗できる余地、判断の材料。

これらを用意するのが上司の責任で、そこから先は本人の領分です。

「自分でやったほうが早い」が一番の壁

私もそうでした。

忙しい時期ほど自分で巻き取り、結果としてスタッフは同じ作業しか経験しないまま数年が過ぎます。

早さを取ると、育つ機会が消えます。

今日1時間節約する代わりに、来年も自分が同じ作業を抱えることになります。

部下が育たない上司の特徴は、仕事ではなく作業を渡していること

部下が育たない 作業

部下が育たない上司の特徴として最も大きいのは、仕事ではなく作業だけを渡していることです。

作業は指示どおり動く範囲、仕事は判断が含まれる範囲を指します。

作業と仕事の違い

渡しているもの 具体例 育つもの
作業 決められた手順で商品を並べる 速さ・正確さ
仕事 今日の並べ方を決めて、売れ方を見て翌日直す 判断力・責任感

作業だけを渡している限り、経験年数が増えても判断は育ちません。

「言われたことしかやらない」と嘆く職場ほど、言われたことしか渡していないことが多いと感じています。

進捗を確認しすぎるのも同じこと

細かく確認しすぎる関わり方も、判断の機会を奪います。

確認の回数を減らすのが怖いなら、範囲を小さくして任せるほうが健全です。

金額の上限、時間の上限、影響が及ぶ範囲を決めておけば、失敗しても取り返せます。

失敗の責任を引き受けると言葉にする

私が店長時代にやっていたのは、任せるときに「責任は私が取る」と先に言うことでした。

言うだけなら簡単ですが、実際に何かあったときに前に出ないと、次から誰も踏み込みません。

人の配置や役割の決め方は、飲食店のシフトの組み方|人時生産性を基準にした手順にまとめています。

部下が育たないのはなぜか|多くは3つの原因に分かれる

部下が育たない 要因

部下が育たないのはなぜか。

現場で見ていると、原因は本人の資質ではなく次の3つに分かれます。

  1. 機会がない(作業しか渡されていない)
  2. 基準がない(何ができたら合格かが共有されていない)
  3. 振り返りがない(やりっぱなしで、良し悪しが分からない)

基準がないと、成長した実感が生まれない

「ちゃんとやって」「もっと早く」では、本人は判断できません。

私は新人に渡すことを1日1つに絞り、できた時点でその場で確認するようにしました。

まとめて評価すると、何ができたのかが残りません。

振り返りは、事実だけを並べる

振り返りが人格の話になると、次から本音が出なくなります。

記録する項目を決めておくと、話が事実から離れません。

項目の決め方は飲食店の日報は何を書く?続く項目に絞れば、翌日の行動が変わるに書きました。

情報を渡していないだけのこともある

新しいやり方に抵抗されるとき、原因が性格に見えて、実は情報不足ということがあります。

なぜそれをやるのか、やらないと何が起きるのかを共有していないだけ、という場面は私にも何度もありました。

人が育たない職場では、育ちかけた人が辞めている

部下が育たない 辞める

人が育たない職場でよく言われるのが、「人が育たないのではなく、人を辞めさせている人が残っているだけ」という指摘です。

厳しい言い方ですが、当たっている場面があります。

採用を増やす前に、辞める理由を数える

人手不足を採用で解決しようとすると、採用と離職を延々と繰り返します。

年に2〜3人ずつ定着すれば、数年で十分な人数になる規模の店がほとんどです。

つまり足りないのは採用力ではなく、定着です。

辞めた人が出たときに、理由を人のせいにせず記録しておくと、同じ場所で人が抜けていることに気づけます。

育ちかけた人ほど辞める

一番もったいないのが、判断ができるようになった時期の離職です。

任せられる範囲が増えないまま責任だけ増えると、この層から抜けていきます。

引き継ぎのたびに、店の力が下がる

人が抜けると、残った人に負荷が寄ります。

教える側の時間も取られるため、同じ時期に新人が入ると現場は一時的に弱くなります。

この状態が半年ごとに繰り返されると、店の力はいつまでも上がりません。

採用にかけた費用と、教えるために使った時間が、そのたびに消えていくことになります。

だから私は、採用の前に定着の話をするようにしています。

表情は数字より早く出る

私は店舗を見るとき、売上より先にスタッフの表情を見るようにしています。

数字は結果なので、悪くなってから気づくのでは遅いためです。

  • 会話が減っている
  • 目が合わない
  • 雑談がない

こうした変化は、離職の数週間前から出ます。

現場の状況を数字だけで判断していた頃の失敗は、数字を見ない経営者だった頃の話に書きました。

成長しない部下を見限る前に、確かめておきたい3つ

部下が育たない 見限る

成長しない部下を見限るかどうか迷ったときは、その前に3つ確かめてください。

見込みがないと判断する前に、こちらの渡し方に穴がないかを見る手順です。

  1. 任せた範囲は、判断が入る仕事だったか(作業だけを渡していないか)
  2. 合格の基準を、言葉にして伝えたか
  3. 途中で一度、振り返りの場を持ったか

この3つが欠けていた場合、育たなかったのは本人の問題とは言い切れません。

まず条件を整えて、2週間から1か月ほど様子を見ます。

期限と基準を先に決めておく

条件を整えて様子を見るときは、いつまでに何ができていれば続けるのかを先に決めておきます。

決めずに見ていると、こちらの感情で判断が揺れます。

私は、2週間なら何を1つできるようになってほしいかを紙に書いてから渡すようにしました。

書いてみると、渡している仕事が大きすぎたと気づくことがよくあります。

本人ではなく渡し方の問題だった、という結論になる場面のほうが多いくらいです。

それでも変わらない場合は、役割を変える

条件を整えても変化がない場合はあります。

そのときは、無理に同じ役割で伸ばそうとせず、向いている役割に移すほうが双方にとって良い結果になります。

見限るという言葉には突き放す響きがありますが、実際にやることは配置換えです。

本人が力を出せる場所に移す判断も、育成の一部だと考えています。

優秀な部下が腐るのは、渡す仕事がいつまでも同じだから

部下が育たない

優秀な部下が腐る原因は、評価不足よりも、任される仕事が変わらないことにあります。

できる人ほど、同じ作業を繰り返す時間に意味を感じなくなります。

1ランク上の仕事を渡す

私が続けているのは、次の役割の仕事を先に渡すことです。

  • 店長になりたい人には、店長の業務を一部やってもらう。
  • ナンバー2を目指す人には、その範囲を任せる。

なってから覚えるより、なる前に経験したほうが早く育ちます。

任せる側は責任を引き受ける覚悟がいりますが、育つ速度は明らかに変わります。

任せる前に、判断の材料を渡す

任せるときに数字を渡さないと、本人は勘で決めることになります。

私は、その日の売上目標と製造数の考え方、前年の同じ曜日の動きを見せてから任せるようにしました。

材料があると、判断の理由を説明できるようになります。

説明できるようになった人は、次の人に教えられます。

ここまで来ると、育成が自分の手を離れて回り始めます。

抜けた穴は、下の人の機会になる

上の仕事を渡すと、その人が持っていた仕事が空きます。

それを次の人に渡すと、店全体で1段ずつ上がります。

人を増やさずに現場の力が上がるのは、この連鎖が起きているときです。

まとめ|部下が育たないときに、今週変えられること

部下が育たない

部下が育たないと感じたら、次の順番で見直してください。

  • 渡しているのが作業か仕事か(判断が入っているか)
  • 合格の基準を言葉にしているか
  • 振り返りの場を持っているか
  • 育ちかけた人が辞めていないか
  • 優秀な人に、次の役割の仕事を渡しているか

全部を一度に変える必要はありません。

今週は1人に1つ、判断が入る仕事を渡してみるところからで十分です。

私の店で結果が変わったのも、人を入れ替えたからではなく、渡すものを変えたからでした。

やることが多すぎて育成まで手が回らないときは、課題を洗い出して3つに絞る作業から始めると動きやすくなります。

その手順は店舗集客、何から始める?72個の改善案から「今やるべき3つ」を決める実践メソッドにまとめました。少しでもお役に立てたら幸いです。

部下が育たないことについてよくある質問

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部下が育たないのは上司の責任ですか

成長するかどうかは本人が決めますが、成長する機会と条件を用意するのは上司の責任です。

任せる範囲、基準、振り返りの3つが揃っているかを先に確認してください。

部下が育たない上司の特徴は何ですか

  • 仕事ではなく作業だけを渡している
  • 進捗を細かく確認しすぎる
  • 失敗の責任を引き受けない

の3つが代表的です。いずれも判断の機会を奪います。

人が育たない職場の共通点は何ですか

採用は続けているのに定着していない点です。

育ちかけた人が辞めていく職場では、任される範囲が増えないまま責任だけが増えていることが多いです。

成長しない部下は見限ってもいいですか

見限る前に、判断の入る仕事を渡したか、合格の基準を伝えたか、振り返りをしたかを確認してください。

条件を整えても変化がない場合は、同じ役割で伸ばそうとせず配置を変えるほうが現実的です。

優秀な部下が辞めてしまうのはなぜですか

任される仕事が変わらないからです。

できる人ほど、同じ作業の繰り返しに意味を感じなくなります。次の役割の仕事を先に渡すと、留まる理由が生まれます。