老子の名言や格言【英語付き】足るを知るをはじめビジネスやリーダーに必要な思考を学びましょう。
中国春秋時代における哲学者である老子の言葉は、現代のビジネスパーソンやリーダーの考え方、行動にも大きな影響を与えています。
有名な言葉「足るを知る」をはじめ、人生をより良く生きたい、充実させたいという方は、老子の名言や格言を学んでいきましょう。
この記事を読んでいただく事で、中国古来のリーダーの思考を学び、あなたが取るべき行動や思考の参考にし頂ければ幸いです。
もくじ
老子の有名な名言や格言【英語付き】
それでは早速、老子の有名な言葉の数々をまとめましたので、ご紹介していきます。
老子の名言その1 水
泥水もそのままにしておくときれいな水になる
If you leave the muddy water as it is, it will become clean water.
老子は「無為自然」という思想を持っていました。
人間が手を加えたものよりも、ありのままの自然な姿でいることが望ましいと老子は説いていました。
泥水でさえも放っておけば、勝手に不純物が沈殿して綺麗な水ができるという考えです。
もちろん、コロナウィルスで多くの罪のない命が犠牲になっている現在、自然に任せてじっとしているわけにはいきません。
ただ、老子の言う通り、人間が自然界にいらない手出しをした結果、ウィルスが発生してしまったのなら本当に恐ろしいことですね。
「無為自然」という言葉を覚えておきましょう。
老子の名言その2 リーダー
最も理想的な指導者は、部下からことさら意識されることはない。
それよりも一段劣るのは、部下から敬愛される指導者、さらに劣るのは、部下から恐れられる指導者、最低なのは、部下からバカにされる指導者である。
The most ideal leader is not particularly conscious of his subordinates.
Even worse are leaders who are loved by their subordinates, even worse are leaders who are feared by their subordinates, and worst are leaders who are ridiculed by their subordinates.
リーダーとしての存在は認められているものの、必要以上に尊敬されるのはよくありません。
部下からバカにされるのは論外ですが、威張り散らして恐れられるのも上司としての正しい姿ではありません。
人の上に立つ人は、自分の存在を舌の人々に強く意識されないように気をつけましょう。
上司からのありがたい指示だから、上司が監視していて怒られそうだから、上司が役に立たないつまらないことを言っているからと、上司の存在が邪魔することは多いものです。
いい意味にも悪い意味にも捉えられることなく、フラットな立場で存在し、必要な場面で自らの仕事をするようなリーダーになりましょう。
老子の名言その3 魚
魚を与えれば、一日食べていける。魚の取りかたを教えれば、一生食べていける。
If you give them fish, you can eat them all day long. If you teach me how to catch fish, I can eat it for the rest of my life.
何事もやり方がわからなければ、一人ではやっていけません。
常に誰かが手助けをしてくれるわけではありません。
宿題の終わらせ方、仕事の進め方、料理の作り方等、生きていくには自分でやり方を覚えましょう。
お金や食事を与えられるだけでは、その場しのぎになってしまいますね。
人に甘えずに自立した人になれるように、人生の生き方を覚えましょう。
そして、自分が習得したら、次世代の若い人や子どもたちに教えられる大人になりましょう。
老子の名言その4 人生
人生とは、その時々に自然に変化し、移りゆくものだ。変化に抵抗してはならない。
それは悲しみを招くだけである。
Life is something that changes and changes naturally from time to time. Don’t resist change.
It only causes sadness.
自然な時の流れに身を任せて、上手に自分の身の振り方を考えられるといいですね。
物事はなるようにしかなりません。意地を張って、無理をして、抵抗しても、自分が疲れて損をするだけです。
何かと争うと必ず傷つく人や失うものが出てきます。
時には、素直に受け入れて身を預けてみましょう。
流れて流されて、たどり着いた先にいい人生が待っています。そうして、自分のことも他人のことも受け入れられるようになるものです。
老子の名言その5 足るを知る
足るを知れば辱められず、止まるを知ればあやうからず。
If you know enough, you won’t be humiliated.
欲張ったり見栄を張ったりして身の丈に合わないことをすると、後で自分が恥ずかしい思いをすることになります。
自分が恥ずかしめを受けるだけで済むならいいかもしれませんが、周囲の人に迷惑をかけてしまうこともあります。
自分の力量が分からず、できるかどうか試してみないと判断できないことでも挑戦したいという心意気は素晴らしいものです。
ただ、後になって惨めな気持ちになったり、他人に尻ぬぐいをしてもらったりすることにならないかよく考えておきましょう。
老子の名言その6 口
真言は美ならず、美言は真ならず。
Mantra is not beautiful, and mantra is not true.
耳ざわりがよく聞いていて気持ちのいい話は、たいてい作り話です。
現実はそんなに甘くなく、きれいなものではありません。
辛い試練や悲しい出来事を乗り越えずに終わる人生はなく、生まれてから死ぬまでずっと笑顔でいられるハッピーエンドは存在しません。
また、話しが上手な人は、よく聞こえるように話をアレンジして大袈裟に誇張しています。
聞き手が誤った解釈をすることもあります。美味しい話には裏があります。よく注意しましょう。
老子の名言その7 世界一受けたい授業
泣くのはいいけど泣きごとは言うな。
It’s okay to cry, but don’t cry.
嫌なことや悲しいことがあった時、思いっきり泣くと少しスッキリしますよね。
流した涙と一緒に要らない負の感情を吐き出すことができるからです。
我慢しないで泣きたい時は泣きましょう。ただ泣き言はダメです。
不満や愚痴を嘆いているだけでは、何の解決にもなりません。言い訳ばかりして嘆いていないで、行動に移しましょう。
本当は泣いている暇なんてないのかもしれません。
老子の名言その8 大器晩成
大器は晩成す。
The big one is late.
大きな器は簡単には出来上がりません。
丁寧に手間をかけて時間もかけて、作り上げられます。
まだ偉大な人物こそ成功するのが遅いとも言われます。
同じように才能がある人でも、一方だけがチャンスに恵まれて成果を上げてしまうこともあります。
運悪くなかなか結果が出せない時は、その分成長するための時間に費やすことができます。
そして満を持して、立派に花を咲かせましょう。
老子の名言その9 大河の一滴
人はみな大河の一滴。
Everyone is a drop of a big river.
どんなに偉大な功績を残した人も、特に人生に誇れることはないという老人も、生まれたばかりの赤ちゃんもみんな大河の一滴に過ぎません。
今地球上にいる全人類と過去と未来に存在する人々、無限に広がる宇宙まで考えてみると、人間は誰しもが小さな一粒の塊です。
とても困難なことに出くわしたり、悲しくて死んでしまいたいと思ったりしても、時間が過ぎてしまえば何とかなっているものです。
全てが小さなことと軽んじてはいけませんが、焦って思いつめることなく、大きな気持ちで落ち着いて対処できるといいですね。
老子の名言その10 歯
歯亡びて舌存す。
My teeth are dead and my tongue is still there.
固いものは滅んで無くなってしまい、柔軟なものは最後までしぶとく生き残ります。
一見頑丈そうなものほど、ひびが入って割れてしまうまでが案外早いものです。
逆にしなやかなものは打たれ強く上手に耐え抜くことができます。
歯は欠けてしまうと、元に戻すことはできず、歯医者に行って治療をしてもらわなければいけません。
舌は切れたら痛いですが、そのうち治ります。人間として柔軟な性格の方が長く勝ち残れます。
老子の名言その11 リーダーシップ
上善は水の如し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所におる。故に道に幾し。
Goodness is like water. Water is good and does not fight for all things, but is in the wrong place of the people. Therefore, how many are you on the road?
老子は人生を「水のよう生きるのがよい」と説いていました。
リーダーシップの取り方も同じことが言えます。
水は自然界にとっても、私たち人間が生きる上でも必ずなくてはならないものです。
万物を無条件で助けて育ててくれる上、低い方へと流れて留まりまったり、汚いところへ流れて浄化したりします。
リーダーとして上に立つ存在になっても、立場の弱い人の近くで寄り添い救える人、水のようなリーダーになれるといいですね。
老子の名言その12 争わず
善く敵に勝つものは争わず。
Don’t fight for what beats the enemy.
本当の意味で敵に勝つということは、武力で争った結果ではありません。
争わない人こそが勝者になることができます。上手に争いを避けて場を治められれば、誰も傷つかず何も失わずに済みます。
賢く敵を誘導することが一番難しく正しい戦い方とも言えます。
気に入らないことがあっても、感情的に相手を攻撃してしまったらその時点で負けです。
落ち着いて冷静に策を練りましょう。争わなくても勝てる方法が必ずあります。
老子の名言その13 与えよ
取らんと欲する者は先ず与えよ。
Give first to those who want to take it.
自分が欲しいものがあるなら、そのものを手に入れる前に人に与えなさいという意味です。
自分の欲ばかりを叶えていては、なかなか満たされることはありません。
自分よりも人に与えられるようになると、それだけでも幸福感を味わえます。
また、人に与えることで自分の欲だったものが客観的に見えてきます。本当に必要なものや本来のあるべき姿がわかってきます。
老子の名言その14 親切
本当の親切とは、親切にするなどとは考えもせずに行われるものだ。
True kindness is something that is done without even thinking of being kind.
相手のことを本気で思いやっていれば、親切な人になろうとか親切な人に思われたいとか考えることなく、優しくすることができます。
相手に好かれたいからと言って、ポイント稼ぎをしていては本当の意味で親切な人にはなれません。
そのうち相手に察知されて信頼関係も上手く築けなくなります。
親切をしたいと思わなくても、相手のことを真剣に思うだけで、おのずと親切はできているものです。
老子と同じ道化の始祖である荘子の名言や格言
諸子百家の中でも、特に独自の哲学的思想として知られる道家が創始者の老子と言われていますが、孔子に教えを講じたと言われる、荘子の名言や格言をいくつか紹介します。
荘子の名言その1 夢
いかなる人も夢を見ている限り、それが夢であることに気づかない
荘子の代表的な説話の中に、胡蝶の夢があります。
荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだところで夢が覚め、果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、或いは蝶が夢を見て荘周になっているのか。
という話ですが、自分自身が夢から覚めて現実を見つめないと、夢だった事から醒めないという事を示しているのでしょうか。
仏教の中に出てくる説法のような内容ですね。
荘子の名言その2 井の中の蛙
井の中の蛙、大海を知らず
「されど空の蒼さを知る」という言葉が続きにあるように、見識が狭い事を表す言葉だけでなく、逆に空の蒼さという表現で、狭い世界でも深い考察を持ってすれば、専門分野に詳しくなるという意味としても捉える事も出来ます。
荘子の名言その3 足らざれば
力足らざれば偽り、知足らざれば欺き、財足らざれば盗む。
守屋洋さんの訳によると、
「力が足りなかったら、ごまかすようになる。知が足りなかったら、だますようになる。財が足りなかったら、盗みをはたらくようになる。」
となっていました。
人は、何かと不足すると思考や行動に影響が出るという本質をついた言葉なのでは無いでしょうか。
荘子の名言その4 難し
敬を以てする孝は易く、愛を以てする孝は難し。
親を忘るるは易きも、親をして我を忘れしむるは難し。
意味としては、尊敬の意味で親孝行するのはできても、愛を持って親孝行するのは難しいという意味になりますが、親子の関係であっても愛を持って接するというのは、とても難しいという例でしょうか。
荘子の名言その5 徳
徳をもって人に分かつ、これを聖という。
財をもって人に分かつ、これを賢という。
何よりもまず人に分け与えるものは「徳」であって「財」ではないという事を意味です。
徳を積むという点でも、誰でも出来ることではないので、聖人となったのでしょうか。
荘子の名言その6 誉れなし
至楽は楽しみなく、至誉は誉れなし。
楽しい事も、誉められる事もない状態が究極の状態だという意味で、「無心で喜びも楽しみも感じないときが楽しみの境地である」という事を、荘子はこの言葉で示したと言います。
荘子の名言その7 君子
君子の交わりは淡きこと水のごとし、小人の交わりは甘きこと醴のごとし。
本当の関係は、真水のごとくうまみを求めての付き合いをしないが、君子ようなに人格が出来ていない人物だと、甘酒のようにうまみを求めて付き合いをするという言葉です。
利益を優先でお付き合いをすると、信頼が置けないという事を表していますが、何でも最初から甘い汁を吸おうという思いが見えるのは良くないですね。
荘子の名言その8 命
命長ければ、恥多し。
長生きすれば、それだけ恥をかく事も多いですという意味です、失敗を重ねるのは恥でもなければ、恥をかいて成長する事もありますので、恥は悪いものではありません。
一時の不名誉な事は、水に流せるくらいの精神力を持つ事の方が重要では無いでしょうか。
荘子の名言その9 犬
犬はよく吠ゆるを以って良とせず、人はよく話すを以って賢とせず。
人間の弁が立つ人を犬にたとえているのですが、弁が立つからといって優秀な人材というわけでもなければ、よく話す人が賢いというわけでもないという意味です。
時には、人の話を聞ける余裕を持つことも大事では無いでしょうか。
荘子の名言その10 勝つ
功を以て人に勝つことなかれ。
謀を以て人に勝つことなかれ。
戦を以て人に勝つことなかれ。
勝てる勝てないという判断ではなく、功でなく謀でなく戦でなく、徳こそが大事という事を説いた言葉です。
勝つことが全てとならないように、負けても学んだり、人として成長したりする事もあるという事を抑え、どう生きるべきか?を考えるようにしましょう。
老子の名言や格言が学べる本
最後に、老子や荘子の言葉をまとめて学びたいという方におすすめしたい本をいくつかご紹介します。
老子、荘子の名言―明るく生きるためのことば
人生を豊かにする言葉を約80点、詩人谷郁雄氏の解説付きで老子と荘子の言葉を紹介した一冊になります。
老子・荘子の言葉100選―――心がほっとするヒント (知的生きかた文庫)
- 第1章 50語でわかる「老子」「道の道とすべきは常の道にあらず」
- 第2章 50語でわかる「荘子」「もの、あれに非ざるはなく、もの、これに非ざるはなし」
として、それぞれ50語ずつまとめた一冊です。