エーリッヒフロムの名言や思想が満載 愛するということや自由からの逃走の本より紹介
Erich Fromm(エーリッヒフロム)は、ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者として知られる偉人です。
エーリッヒ・フロムの名言や思想は、
- 自由からの逃走
- 愛するということ
の本の中でたくさん書かれていますので、ここではフロムの言葉を参考に、人生の生き方を考えてみたいと思います。
もくじ
エーリッヒ フロムの「愛するということ」より名言や格言を紹介
エーリッヒ・フロムの著書「愛するということ」には、愛は技術であり、学ぶことができるとフロムが語っています。
フロム以上に愛を研究した人はいないと言われ、学術的に学べる本書より、フロムの愛についての考えをご紹介したいと思います。
エーリッヒフロム愛の名言その1
愛というものは簡単に浸れるような感情ではない。
真の意味で人を愛するには、自分の人格を発達させ、それが生産的な方向に向くよう全力で努力しなければならない。
愛するという事は簡単ではありません、また愛し続けるためには自分も相手もお互いを想い合わなければ進歩はありません。
進歩のために、全力で努力を続けなければいけない事を気付かせてくれるフロムの名言です。
エーリッヒフロム愛の名言その2
われわれが生きているこの社会では、愛する能力を身につけることは容易ではない。
実際、真に人を愛することのできる人は驚くほどに少ない。
しかし愛する能力を身につけるための仕事が困難だからといって、その努力を放棄してはならない。
フロムは真の愛に目覚めている人は少ないと結論づけています。
なぜなら人を愛するには技術があり、技術通り愛すれば良いところを、ほとんどの人が努力を怠るからだと言います。
逆を言えば、きちんとした愛について理解し、正しい努力を行えば、正しく人を愛せるという事を教えてくれるフロムの名言です。
エーリッヒフロム愛の名言その3
人びとが愛を軽く見ているわけではない。
それどころか誰もが愛に飢えている。
ところが、愛について学ばなければならないことがあるのだと考えている人はほとんどいない。それはなぜだろう。
人は、愛されずにはいられない人種です。愛がなければ餓死するほど、愛に飢えているのです。
愛を求めるが故に、愛を軽視している可能性は無いでしょうか?
愛は技術であり、愛する技術を学べば、誰でも真の愛を見つける事が出来るとフロムは言葉を通して教えてくれています。
エーリッヒフロム愛の名言その4
愛について学ぶことはないと考える第一の理由は、たいていの人は愛の問題を、「愛する能力」の問題ではなく、「愛される」という問題として捉えているからだ。
つまり人びとにとって重要なのは、どうすれば愛されるか、どうすれば愛される人間になれるかということなのだ。
人は、誰かから愛される事を、いつも求めています。
どうすれば、最高の愛され方をするのか?は、技術として学ぶことが出来ますので、エーリッヒフロムの書籍を手に取り学びましょう。
エーリッヒフロム愛の名言その5
愛について学ぶことはないと考える第二の理由は、愛の問題は「対象」の問題であって、「能力」の問題ではない、という思い込みである。
愛することは簡単だが、ふさわしい相手をみつけることはむずかしい、人びとはそんなふうに考えている。
愛するには対象が必要で、愛する事ができない人に対して愛を向ける事は難しいものです。
また、私達が本当に愛したい人を愛すること、相応しい相手と必ずしも結ばれるわけでは無いという事を教えてくれるフロムの名言です。
エーリッヒフロム愛の名言その6
愛について学ぶことはないと考える第三の理由は、恋に「落ちる」という最初の体験と、愛のなかに「とどまっている」という持続的な状態とを、混同していることである。
愛が生まれる瞬間と、愛し続けるという事は、また別の能力になります。
エーリッヒ・フロムの愛は、その時々の様子に合わせて学ぶことが出来るのです。
エーリッヒフロム愛の名言その7
愛の失敗を克服するただ一つの方法は、愛の意味を学ぶこと、その第一歩は、生きることが技術であるのと同じく、愛は技術であるということを知ることである。
愛の技術を習得するには、理論に精通し、その習練に励み、その技術を習得することが究極の関心事にならなければならない。
愛は学び、自分の技術として育てる事が出来ます。
人から愛され、常に平穏な状態を保ち続ける事は、愛の技術を学ぶだけでなく、実践し、自らの中心に置く事が必要です。
エーリッヒフロム愛の名言その8
人間は孤立することを最も恐れている。孤立は強い不安を生む。
人間の最も強い欲求は、孤立を克服したいという欲求である。
人間はいつのどの時代でも、同じ一つの問題の解決に迫られている。
いかに孤立を克服するか、いかに他者との一体化を得るか、という問題である。
人は孤独な状態を好みません、人は人の支えがなければ生きていく事は出来ませんので、いつも周りに愛する人がいる事に感謝しましょう。
エーリッヒフロム愛の名言その9
人間は孤立感から逃れるために、「祝祭的な興奮状態」「集団等への同調」「創造的な活動」といった方法をとるが、完全な答えは人間どうしの一体化、他者との融合、すなわち「愛」にある。
自分以外の人間と融合したいというこの欲望は、人間の最も強い欲望である。
人が集まる場所や集団には安心感があります。
他者への憧れや集団意識というのは、人間が必要な欲望である事を指しています。
マズローの欲求5段階説によれば、人間は
上位2つ目に「承認欲求」を挙げ、人は集団から認められたいという欲求があるという事が分かっていますが、フロムは承認欲求の事を愛と表現していたのでしょうか。
エーリッヒフロム愛の名言その10
愛は人間のなかにある能動的な力である。
人を他の人びとから隔てている壁をぶち破る力であり、人と人とを結びつける力である。
愛によって、人は孤独感や孤立感を克服するが、依然として自分自身のままであり、自分の全体性を失わない。
愛は、本来すべての人間が持ち合わせている能力です。
愛は、時に思いも寄らない力を発揮したり、人と人を結びつけ、引き合わせるような力になるのです。
エーリッヒフロムの「自由からの逃走」より名言や格言を紹介
続いて、著書「自由からの逃走」ですが、ナチスに追われてアメリカに逃れて帰化する事になったエーリッヒフロムが、時代の狂気に対する叫びとして自由を主張した本です。
この名書から、エーリッヒフロムの名言や思想をいくつかピックアップしてみました。
エーリッヒフロム自由に対する名言その1
人間がもっとも恐れているのは「孤立すること」である。
しかし人間は普段そのことを意識すらしていない。
愛と同じで、人間がいつも恐れるのは「孤立」であり、普段は周りに当たり前のようにいる人々に感謝をするべきだという事を教えてくれるフロムの名言です。
エーリッヒフロム自由に対する名言その2
人間は、意識の上では自らの意思で動いているものと信じているが、実際は「無意識的な力」によって動かされている。
人間には意識以外に無意識領域と呼ばれるところが存在します。
分かりやすいもので言えば、私達人間が意識せずに動かしている脳、臓器、呼吸など生命維持に関わるものです。
しかし、潜在意識とも呼ばれるように人間には、本来出力できるはずの能力の10%程度しか使っていないと言われていますので、我々も気付かない潜在意識を活用し、夢や目標を引き寄せることも可能です。
潜在意識に関しては、こちらの記事でまとめています。
エーリッヒフロム自由に対する名言その3
人間は、自由になればなるほど、心の底では耐えがたい「孤独感」や「無力感」に脅かされるようになる。
自由の代償は「責任」だと思っていましたが、自由になればなるほど孤独を感じたり、無力に浸されるという事も考えさせられるフロムの名言です。
エーリッヒフロム自由に対する名言その4
人間は、自由になればなるほど「孤立の恐怖」に直面させられる。
この絶望的な恐怖に人間は耐えられない。
人は一人では生きていく事は出来ません。
孤独は、人を一番絶望に陥れる最大の恐怖になるのです。
エーリッヒフロム自由に対する名言その5
人間は、意識の上では自らの意思で積極的な自由を求めているものと信じているが、実際は、孤立の恐怖から逃れるために、「逃避のメカニズム」が働き、自由を求めるより、自由から逃がれることを選択している。
人はいつも自由になりたいと求めるものですが、多少の不自由さがなければ孤独に陥ります。
自由を求めるより、結局の所孤独を恐れて、自由から逃れる選択をするのはそのためだと、フロムは教えてくれます。
エーリッヒフロム自由に対する名言その6
自由は個人に「独立」と「合理性」を与えたが、その一方で、個人を「孤独」に落とし入れ、個人を「不安」で「無力」なものにした。
これが自由がもたらすことの二面性である。
自由には二面性があり、独立する事と、不安で無力にする事を教えています。
エーリッヒフロム自由に対する名言その7
一つは、愛や生産的な仕事の「自発性」の中で外界と結ばれ、人間の独自性と個性とに基づいた「積極的な自由」の完全な実現に進む道である。
フロムらしい、愛を中心にした考え方ですが、1つ目に挙げたのが「積極的な自由」へと進む道です。
一方で、
もう一つの道は、自由や自我の統一を犠牲にする「絆」によって結ばれ、自由の重荷から逃れて、新しい「依存」と「従属」を求める道である。
愛の反対が依存であり、絆が生まれる事で従属の関係が生まれるという事も教えてくれるのが、このフロムの名言です。
エーリッヒフロム自由に対する名言その8
人は誰もが「積極的な自由の完全な実現に進む道」を選択できる、という訳ではない。
人間は、無意識的な力によって動かされるために、多くの人びとが、実際は「自由から逃れる道」を選択している、ということを理解しなければならない。
人は、結局のところ、自由を求めていると口にするものの、自由から逃れるための行動を取るものです。
完全なる自由は、孤独を生む事にもなるのです。
エーリッヒフロムの名言や思想
これまで本の中から抜粋したフロムの名言や思想を紹介してきましたが、愛と自由を中心にしたものですので、その他のフロムの言葉をいくつか抜粋して紹介していきます。
エーリッヒフロムの名言 弱さについて
権力欲は強さでなく弱さに根ざしている。
英語訳 The lust for power is not rooted in strength but in weakness.
権力者は実は孤独で、孤独は人の中で一番の恐怖であり、結果的に人を弱らせているという事を表現しているのでしょうか。
権利欲を求めるという事は、結果的に自分の弱さを露呈する事になるという事ですね。
エーリッヒフロムの名言 未来について
過去の危険は人間が奴隷になることだった。未来の危険は人間がロボットになるかもしれないことだ。
英語訳 The danger of the past was that men became slaves. The danger of the future is that men may become robots.
奴隷にしても、ロボットにしても、いずれにしても自由を制限された従属となる事は、全く幸せなん事ではない事をフロムは嘆いていたのでしょうか。
エーリッヒフロムの名言 豊かさについて
たくさん持っている人が豊かなのではなく、たくさん与える人が豊かなのだ。
Not he who has much is rich, but he who gives much.
人は、Giver(ギバー)かTaker(テイカー)に分かれると言われています。
Giverとなり、与える側になりましょう。Takerでは相手の時間を奪い、エネルギーを奪うだけで、相手をどんどん疲弊させてしまいますので、その事実を知りましょう。
エーリッヒフロムの名言 手放す勇気について
創造力を得るには、確かなことを手放す勇気が必要である。
英語訳 Creativity requires the courage to let go of certainties.
創造力は、自分たちの考えている思考の枠の外側にあるものです。
常識の概念がつきまとう限り、あなたの創造力が掻き立てられる事はありませんので、手放すようにしましょう。
エーリッヒフロムの名言 裕福について
真に裕福な人とは、自分が持っている以上のものを望まない人たちだ。
英語訳 The only truly affluent are those who do not want more than they have.
無いものをねだらず、今の環境に感謝する事が大事です。
当たり前を愛し、当たり前に感謝すれば、今あるもの以上の事を望む事もなくなるはずです。
エーリッヒフロムの名言や思想が満載 愛するということや自由からの逃走の本より紹介まとめ
新フロイト派とも呼ばれ、フロイトの考えを批判し、社会的性格論として結論づけたフロムの理論は、
- 愛
- 自由
について、深く考えさせられる思想や言葉の数々です。
エーリッヒフロムの書籍を読めば、愛や自由に関しての深い見解を得られますので、より深く学び、人生を豊かにしたいという方は、是非ともエーリッヒ・フロムの本を読んで頂きたいと想います。
また、晩年は禅や東洋思想へも関心を深めたと言われておりますので、究極的に考えが及ぶところはお釈迦様の考えなどとも一致するのかも知れません。
一人の偉人の名言を通して、我々もより良い人生を歩みましょう。