マインドフルネスと瞑想の違い、坐禅の定義や目的の違い、やってはいけない人はいるの?
最近、マインドフルネスという言葉が日本でもよく耳にする機会が増えてきました。
瞑想と聴くと「怪しい」、「効果がない」と言われてきた時代から、近年ではヨガが普及した事で市場規模も大きくなり、今では日本国内の瞑想は年間で770万人の実践者がいるという統計があります。
自宅でもオフィスでも簡単に取り組める気軽さもあって、今後は、企業やビジネスマンへの普及から、ヨガだけでなく、マインドフルネスや瞑想クラスもたくさん出来てくると予想されます。
そんな、瞑想に関する業界の中で、特に注目のマインドフルネスと瞑想の違い、種類ややり方、効果やデメリットについて、まとめていきます。
当記事を読む事で、マインドフルネスが怪しいものでなく、価値あるものだと気付いて頂けると幸いです。
もくじ
マインドフルネス、瞑想、坐禅の定義の違い
最初に、マインドフルネス、瞑想、坐禅それぞれの定義から見ていきましょう。
マインドフルネスの定義
マインドフルネスは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と日本マインドフルネス協会では定義されています。
マインドフルネスは、テーラワーダ教という宗教が発祥です。
その後、世界的に広めたのは、ベトナムの禅僧、平和活動家のティクナットハン師、分子生物学博士のジョンカバットジンの2人で、アメリカで「マインドフルネスストレス低減法」を確立し、医療分野まで広がりを見せています。
今日では、GoogleやFacebookといった大企業や日本でもメンタルヘルスや企業研修で導入する事も多くなってきています。
マインドフルネスの効果ややり方をまとめています
瞑想の定義
瞑想は「心を鎮めて紙に祈ったり、心を集中させたり、無心になる」事です。
海外では「メディテーション」という言葉で解説される事も多いですが、何かの宗教に属しているわけでもなく、ヨガ教室やスクールなどでメディテーションコースが設けられている事もあります。
坐禅の定義
坐禅とは、「仏教で姿勢を正し、座った状態で精神統一を行う」、禅の基本的な修行です。
坐法は、「調身、調息、調心」と言って、座り方や姿勢、呼吸法、心の中で呼吸を数える3つで主に構成されています。
マインドフルネス、瞑想、坐禅の目的の違い
次に、マインドフルネス、瞑想、坐禅それぞれ何を目的に取り組むのでしょうか?違いがあるのか?をそれぞれの目的を明確にしていきましょう。
マインドフルネスの目的
マインドフルネスは仏教の禅の概念が根幹になります。
そのため、禅の修行通りいくのであれば信心を通して神の境地へ近づく事になりますが、マインドフルネスは宗教観を一切排除し、ストレスに負けない心身、集中力の強化を目的にしています。
瞑想の目的
瞑想は、絶対的な神への信仰として行うものから、ひらめきや直感など智慧を生み出すために行うものや、メンタルヘルスや健康、心理的な治療で行うものまで、瞑想には様々な目的があります。
坐禅の目的
坐禅は、お釈迦様と同じ修行に精進する事で「悟りの境地を開く」事を目的に行います。
坐禅の姿そのものが仏の姿、悟りの姿であり、坐る事で身体を安定させ、心を集中し、心身の調和を図っていくのです。
マインドフルネス、瞑想、坐禅の種類
次に、マインドフルネス、瞑想、坐禅のそれぞれの種類について、まとめます。
マインドフルネスの種類は5個
マインドフルネスの代表的な種類は、
- マインドフルネス呼吸瞑想
- マインドフルネス歩く瞑想
- マインドフルネス食べる瞑想
- ボディスキャン瞑想
この4つです。
1つ目の「呼吸瞑想」は、呼吸瞑想ですが「丹田呼吸法」がおすすめで、丹田と呼ばれるヘソの下辺りに位置する気を溜めるところを意識して、腹式呼吸に意識を置いて、マインドフルネス瞑想を行います。
2つ目の「歩く瞑想」は、歩いている時に身体の様々な部位の感覚に意識を向けて行うマインドフルネス瞑想で、足の裏と地面が当たる感覚、服のすれる感覚、腕を振ったり、足を動かす感覚に意識を向けます。
3つ目の「食べる瞑想」は、食べ物を初めて見るものとして捉えて、観察しながら瞑想状態に入ったり、食べた感覚を味わいながら瞑想状態に入っていきます。
4つ目の「ボディスキャン瞑想」ですが、仰向けになって身体のあらゆる部位に感覚に意識を向けて行うマインドフルネス瞑想です。
瞑想の種類はあまりに多い
瞑想の種類は世の中にたくさんありますので、有名な瞑想をいくつか紹介しますと、
- サマタ瞑想
- ヴィパッサナー瞑想
- 慈悲の瞑想
の3つです。
1つ目の「サマタ瞑想」ですが、ある特定の対象に注意を集中し、注意したところをひたすらに維持し、モニタリングするという瞑想法で、対象物は、身の回りにある文房具や食器など何でもOKです。
もし、自分の呼吸に意識を向ける場合でしたら、アンドルー・ワイル氏が開発し、安倍晋三首相も実践としている「478呼吸法」を取り入れるのも良いでしょう。
2つ目の「ヴィパッサナー瞑想」ですが、ものごとをありのままに明確に捉え、観察する瞑想法です。
サマタ瞑想と違い、特定の対象物に意識を集中するのでなく、その時に浮かんできた出来事を知覚し、観察を繰り返します。
3つ目の「慈悲の瞑想」ですが、決められたマントラ(呪文)を唱えてマインドフルネス瞑想を行う方法です。
(詳しくは、慈悲の瞑想のやり方、全文を公開!効果は科学的にも実証されているって本当なの?でまとめています。)
瞑想ヨガと呼ばれるものがありますが、蓮華座というポーズで瞑想状態へと入っていくのに、サマタ瞑想やヴィパッサナー瞑想を使って誘導するところもあります。
坐禅の種類は臨済宗と曹洞宗と黄壁宗
坐禅はインドが起源で、中国から日本に伝えられたのは鎌倉時代ですが、臨済宗と曹洞宗と黄壁宗の3種類が大きく分けるとあります。
臨済宗は「看話禅」、曹洞宗は「無心に坐禅をする事」、黄壁宗は念仏を唱えながら行います。
マインドフルネス、瞑想、坐禅の代表的なやり方
次に、マインドフルネス、瞑想、坐禅のそれぞれの一般的なやり方をご紹介します。
マインドフルネスの基本的なやり方
マインドフルネスのやり方は、研修やスクール指導者によって多少違ったりしますが、NHKで早稲田大学の熊野宏昭教授が紹介していた代表的なやり方は、
- 呼吸の瞑想
- 気を配る瞑想
の2つです。
1つ目の「呼吸の瞑想」ですが、
- 背筋を伸ばして椅子に座り、目を軽く閉じた薄目の状態にします。
- 息を吸い込み、お腹や胸が膨らむ感覚を感じ、心のなかで「膨らむ、膨らむ」と呼吸の入ってくるところに意識を向けます。
- 息を吐いて、お腹や胸が縮む感覚を感じ、心の中で「縮む、縮む」と呼吸の出ていくところに意識を向けます。
雑念(気が散った)が出てきた時は、心の中で「戻ります」といって、呼吸の意識へ戻ります。
2つ目の「気を配る瞑想」ですが、
- 1つの音に集中する。
- 短時間で聴く音を切り替える。
- すべての音を同時に聴く。
例えば、5つの音(波の音、電車の音、鳥の鳴き声、雑踏の音、時計の音)とした場合、波の音に最初は集中し、次に、音を選んで意識を変え、最後には全ての音を同時に聴くように集中するものです。
瞑想の基本的なやり方
瞑想ですが、代表的な
- サマタ瞑想
- ヴィパッサナー瞑想
の2つのやり方を説明していきます。
1つ目のサマタ瞑想
2つ目のヴィパッサナー瞑想ですが、「歩く」、「立つ」、「座る」という動作でそれぞれ瞑想状態へと入っていきます。
歩く瞑想は、
- 背筋を伸ばし、前か後ろで足を組みます。
- 左足に全神経を集中し、心の中で左足に意識を向けます。
- 心の中で左足を上げると確認し、左足を上げます。
- 次に心の中で運びますと確認し、左足を前に進めます。
- 心の中で下ろしますと確認し終了となります、他の部位でも同じように行います。
立つ瞑想は、
- 目を閉じて、心の中で立っていますと伝えます。
- 心の中で背筋を伸ばしますと確認し、背筋の感覚や周辺の筋肉の伸びを感じます。
- 心の中で手を動かす、組みますなど確認し、動作を取っていきます。
- 足の裏に意識を集中します。
- 着地する感覚を確かめ、心の中で立っています、感じますと確認します。
座る瞑想は、
- 座布団や椅子を用意します。
- 心の中で座ります、しゃがみますと確認し、動作を取ります。
- あぐらの場合は、心の中で足を組みますと確認し、それぞれの動作に意識を向けます。
- 呼吸に意識を向け、心の中で吸います、吐きますを宣言し、ゆっくりと深呼吸を繰り返します。
瞑想は、鼻呼吸と口呼吸どちらでも構わないのですが、私の場合はマインドフルネス瞑想では鼻呼吸で息を吸い、口から吐き出すという方法で、丹田を意識して行っています。
呼吸を続ける秒数ですが、昔流行した美木良介さんの「ロングブレス呼吸法」のように、大きくたくさんの息を吸い、長く細く吐き出す方法がオススメです。
ただし、長く吐く呼吸は息が続かずに苦しい・・という方もいらっしゃると思いますので、無理をしないようにしましょう。
他に、専門的なもので言えば「逆腹式呼吸」を意識すると瞑想状態に入りやすいと解説している指導者もいます。
逆腹式呼吸とは、「吐く時に身体を緩める」事ですが、とにかくゆっくり、ゆっくりと息を少しずつ吐き出していき、その時に全身をゆるゆるに緩めていくイメージで呼吸を繰り返す方法です。
瞑想に慣れてきた時には、丹田呼吸法や逆腹式呼吸も意識して取り入れてみましょう。
坐禅の基本的なやり方
坐禅は、
- 調身で姿勢を調える。
- 調息で呼吸を調える。
- 調心で心を調える。
の3つのステップで行います。
調身は、足を組む際に、直接床の上に座るよりも、坐蒲(ざぶ)をおしりの下に敷くと腰骨が立て、背筋を伸ばし、重心を安定させやすくなります。
調息は、坐禅では「腹式呼吸」を意識して呼吸を行いますが、丹田呼吸法と同じで、深く、ゆっくりと呼吸を続けます。
調心は、マインドフルネスは雑念が湧いたら今に集中するようにしますが、坐禅では無心でいなくても大丈夫で、意識と対峙せず、雑念を放置しておくようにしましょう。
マインドフルネス、瞑想、坐禅で期待される効果は?
次に、マインドフルネス、瞑想、坐禅それぞれの期待される効果について、まとめていきます。
マインドフルネスの期待される効果
マインドフルネスは、心身のリフレッシュだけでなく、仕事のパフォーマンスや集中力アップといった様々な効果が期待出来ます。
私自身の体験では、
- 頭の中がクリアになり、一日穏やかな気持ちで入れる。
- 仕事のやる気、集中力アップで、効率が良くなる。
- 観察力が上がり、ケアレスミスが減る。
- 仕事のミスが減り、効率が上がる事で、自信を持つ事に繋がる。
- ふとした時に、ひらめきや直感めいたものが冴える事がある。
などありますが、Googleなどの一流企業がマインドフルネスを導入し、組織や個人の成長にも寄与しているとも報告されています。
瞑想の期待される効果
瞑想の効果ですが、ある実験で子どもたちに瞑想体験をさせたところ、社会的な行動特性が24%高くなるという結果が出て、瞑想の効果に注目されました。
社会的な行動特性ですが、
- 認知コントロール力
- 感情コントロール力
- プラス思考
- 思いやり
- ストレスレベル
といった項目があり、全てにおいて優れた数値が出たのです。
その他にも、うつ病や不眠や不安の緩和など、脳科学でも瞑想の研究は進んでおり、脳への好影響が期待出来るため、スピリチュアルや宗教として捉える枠組みではなくなってきました。
坐禅の期待される効果
坐禅の期待される効果ですが、古来の書物には「坐禅によって自然に身体の調子は軽安となり精神は爽利に寂然として清楽ならん」と書き、身体面と精神面と両方に好影響があるとしています。
- 坐禅をして身体がすっきりした。
- 坐禅でストレスが解消された。
- 安らぎを得られた。
- 集中力が上がった。
など、坐禅の効果をスポーツやビジネスの面様々なところで感じている方も多くいます。
マインドフルネス、瞑想、坐禅 それぞれのデメリットは?
次に、マインドフルネス、瞑想、坐禅のデメリットですが、共通して挙げられるのが、
- 自分と向き合う時間が増え、雑念と向き合う辛い場面もある。
- 感覚が研ぎ澄まされるので、感受性が高まる。
- 気持ちが良いので、眠くなる事もある。
- 瞑想などやる目的が曖昧だと、意味探しばかりで効果がなければ続かない
という事です。
1つ目の雑念と向き合うですが、過去の嫌な体験などが瞑想中にフラッシュバックする事もあります。
マインドフルネスは雑念と向き合わず、今ここに集中と言いますが、雑念が湧いてくる事もありますので、完全ではありません。
嫌なことと向きあうとトラウマなど抱える方には悪影響が起きますので注意が必要です。
2つ目の感覚が研ぎ澄まされる事ですが、集中力も上がり良い事が多いのですが、感覚が鋭くなると他人との間で溝が深まることもありますので、要注意です。
3つ目ですが、瞑想中に寝ることは時々あります。それだけ気持ちの良い状態になりますので、寝ること自体は悪いことではないので安心して頂ければと思いますが、ちゃんと瞑想状態に入りたいという方には注意が必要です。
4つ目ですが、マインドフルネスや瞑想を「なぜやるのか?」を明確にしなければ続きません。
瞑想は、いきなり効果があるものでないですし、成功法則のようなものではありませんので、コツコツ続ける中で、ギフトが届くくらいの感覚です。
何も期待しないくらいの気持ちがなければ続けられないかも知れません。
(引き寄せの法則に関しては、→ 潜在意識とは何か?意味と使い方を知り、望む人生を引き寄せましょうも参考にして下さい。)
マインドフルネス、瞑想、坐禅をやってはいけない人は?
マインドフルネス、瞑想、坐禅をやってはいけない人ですが、先ほどのデメリットのところで書いた中で言えば
「瞑想などやる目的が曖昧だと、意味探しばかりで効果がなければ続かない」
という方だと思います。
マインドフルネスや瞑想は、夢や目標をしっかりと持ち、叶えるための手段の1つです。
例えば、野球を上達させるためであれば、
- バットを振り込む → 打撃を上達させるため
- ノックを受ける → 守備を上達させるため
- ルールや戦略を覚える → 野球脳を上達させるため
- 瞑想をする → 野球とは関係ない
となれば、瞑想はすぐに止め、他の事に時間を費やす事になりますよね??
瞑想は野球とは関係ないとするのではなく、打撃や守備をする際の集中力を上げるため、脳を活性化し、直感力を磨くためなど、しっかりと「目的意識を明確に」するようにしましょう。
マインドフルネス関連で人気の本やアプリで人気なのは?
最後に、マインドフルネス関連の本やアプリで人気のものをいくつかご紹介します。
マインドフルネス バンテ・H・グナラタナ 出村佳子 (翻訳)
マインドフルネスの入門書で、アメリカで出版されてから20年読みつがれて、世界15カ国で翻訳されているロングセラーです。
グーグルのマインドフルネス革命
Googleのマインドフルネスプロジェクトに関わるビルドウェイン氏へインタビューした内容をまとめた本ですが、Googleの組織として個人としての効用が分かりやすく解説されていておすすめの良書です。
サーチ・インサイド・ユアセルフ
Googleでは、就業時間の20%をコアとなる仕事以外にあてる事を認められていて、マインドフルネスに充てられています。
Googleでは、EQカリキュラムの名前が「サーチ・インサイド・ユアセルフ(己の内を探れ)」を略して「SIY」と呼び、実践法を詳しく書いています。
マインドフルネスの教科書
心理学や東洋医学の知識に加えて、40年以上の瞑想歴、20年以上マインドフルネスを行っていた藤井英雄氏が、ご自身の体験を元に本を出版されています。
マインドフルネス人気のアプリ
アプリは、無料だけでなく有料のものもありますが、ほとんどが買い切りではなく月額料金のアプリです。数百円程度とは言え、毎月の出費になります。
無料の範囲でOKという方は、無料で使えるサービスをご利用下さい。
cocorus-マインドフルネス瞑想/睡眠・Sleep瞑想
寝ながらマインドフルネスが可能なアプリ、ふとんをかぶりながら手足を軽く動かすレベルなので難しくなくて人気です。
MEISOON
ホットヨガのLAVAの創業者の椎名慶子氏が監修したアプリで、リラックスしたい時や自信をつけたいときなど、様々なシーンで役立つ瞑想アプリです。
マインドフルネス・アプリ みんなのための瞑想
継続的に使うには有料にしなければいけませんが、1週間の間に無料期間がありますので、まずは気軽にアプリを試してみたい方におすすめです。
マインドフルネス、瞑想、坐禅の定義や目的の違い まとめ
いかがでしたでしょうか?マインドフルネス、瞑想、坐禅それぞれの定義や目的をきちんと理解すれば、いかに有効な手段か分かって頂けたのでは無いかと思います。
宗教観を排除する事で、瞑想が怪しいと偏見を持つ事も無いでしょうし、ヨガがこれだけ世界中で普及している事から考えれば、マインドフルネスや瞑想を活用したビジネスモデルは、さらに拡がる事になるのでは無いでしょうか。
マインドフルネス、瞑想、坐禅全ては、お釈迦様が悟りを開いたように、心の境地を悟りを開くところへ持っていくのが究極の目的になりますが、その過程においては
- 心身のリフレッシュになる。
- 集中力がアップする。
- 仕事のやる気、自信が満ちてモチベーションがアップする。
- ひらめき、直感力を磨く事が出来る。
など、仕事にもプライベートにも使えるものです。
感情コントロールが上手くいき、人間関係が円滑になったり、上手く進めばビジネスや子育てが上手く行かないなんて事は無いはずです。
是非とも、マインドフルネスをはじめとする瞑想を習慣化して頂き、心地よい毎日をお過ごし下さいね。
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